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提督×曙シリーズ 256 :提督×曙 その後:2014/06/01(日) 23 50 05 ID MpmLk9d2 うーん、どうしたもんかしら。 あたしは駆逐艦娘、曙。 今、あたしは金剛さんの部屋にいる。金剛さんはお茶を淹れている最中だ。 どうしてこうなったか、ちょっと思い返してみる。 * 「ケッコンカッコカリ」を巡る諸々の騒動から何日か経った。 あれからあたしの提督への態度は、ほとんど変わっていない…と思う。少なくとも表面上は。 まあ、提督はあたしと会話するたびに露骨に嬉しそう、というか浮かれまくっているんだけど。 他の娘もいるってのに、全く恥ずかしいったらありゃしない。 うん、でも、まあ、あたしだってその…嬉しくないわけじゃないし、今まで提督にもらったものを、何らかの形で返してあげたい。 しかし、あたしはその方面はとんと疎いのだ。 『前』は当然こんなこととは無縁だったし、艦娘となった後もまさかそんな…と気を払うこともなかったから。 一日の仕事を終え、駆逐艦寮へ歩いている間、あたしはそんなことをずっと考えていた。 しかし、寮にたどり着くと、入り口にあまり見かけない人が立っていたのだ。 「ヘイ、曙」 「あ、こ、金剛さん…」 今一番会いたくない人に会ってしまった。この人が提督に日常的にラブコールをしていたのは周知のことだ。 ケッコンカッコカリのことはもちろん隠せるわけがない。なんせ、あたしの手には指輪が光っているのだ。 カッコカリだから、なんて言い訳にもならないし。 陽炎型みたいに手袋をはめていればまだ何とかなっていたかもしれないけど、生憎特型にはそんな都合のいいものはない。 提督も「隠す必要はない、しっかりとお断りをした」と言っていたけど…気まずいものは気まずい。 微笑みながら、しかし歴戦の戦艦特有の余裕と威圧感を隠そうともせず、金剛さんが話しかけてくる。 「Youを待ってたネ。時間空いてる?」 「え、いや、特にこの後は何も…」 思わず正直に返事をしてしまった。 しかしこの場を適当にごまかしても、問題を先延ばしにするだけだろう。 「そう、良かった。ちょっと私に付き合って欲しいノ」 そう言うなり、あたしの手を掴んで歩き出した。 「ど、どこへ?」 「もちろん、私のteatimeに…ネ」 半ば引きずられるように戦艦寮に連れ込まれ、今ここでこうしている…というわけ。 まあ、こうなってしまったものはしょうがないわね。あたしも覚悟を決めなきゃ。 そんなことを考えているうちに、ティーセットを携えた金剛さんが戻ってきた。 優雅な手つきで2つのカップに紅茶を注ぐ。 「どうぞ。アナタ、運が良かったネ。一昨日、かなりいい茶葉を買ったとこなのよ」 「ど、どうも…」 金剛さんには悪いけど、あたしはあまり紅茶に詳しくない。というか、それ以前にこの状況で味なんてわかるわけ無い。 それでも勧められるまま一口すすると、いくらか気持ちも落ち着いた…ような気がした。 向かいに腰を下ろした金剛さんもカップを傾け、あたしをまっすぐ見てくる。 「別に取って食べようってわけじゃないわ、そんなに身構えないで欲しいノ。もうちょっとrelaxして…って言っても難しいわよネ」 当たり前じゃない。 「ンー、世間話も何だし…じゃあ本題を始めマスね」 ついに来たか。用件はおおよそ見当付いている。提督からのいきなりの告白だったとはいえ、あたしは譲るつもりなんて毛頭ない。 たとえ相手がこの人でも…ううん、誰だって、絶対に、譲らない。駆逐艦を舐めるな。 「アナタ…見ててじれったいのよ!」 「お断りしま…! え?」 プフーッと金剛さんが噴き出す。え?何?この状況。 「フフフッ、今更アナタからテイトクを奪おうなんてしまセンよ」 「え…」 「そりゃあまあ超悔しいデスケドね。さっきまでアナタを脅かしてたのは、ささやかな八つ当たりヨ。ごめんなさいね」 「…」 「でも、それももうオシマイ。私だって、アナタのことはそれなりにわかってるつもりデス。アナタは誇りある、立派な艦娘。 アナタに助けられたことだって何回もあったし、実は結構respectしてたのヨ。そんな娘が相手なんだから、私だって諦めます」 「…」 全く予想外の状況にあっけにとられていたが、まさかそんなことを言われるとは思っていなかった。 「それにテイトクから聞かされたワ。アナタのこと、いろいろね」 「え…?」 「あの曙が俺を尊敬してくれてたんだって!とか、あの曙が顔真っ赤にしてて死ぬほど可愛かったんだぞ!とか」 「な…なっ…!?」 「あんまり嬉しそうに話すものデスから、もう妬くを通り越して私まで嬉しくなっちゃいましたヨ」 あんのクソ提督、何こっ恥ずかしいことくっちゃべってんのよ…! 「あのテートクにあそこまで言わせたんだから、…な、何かしてあげないとイケマセン」 「う…あ、あたしだって…何か、して、あげたいんです…で、でも、あたしこういうのく、詳しくなくて、その… …?」 金剛さんの様子がちょっとおかしいことに気づく。目を逸らしたまま何やら笑ったような顔で、プルプル震えてる。 「曙…アナタ、いつもとのgap激しすぎ……テイトクが惚れるのも無理ないネ…」 「え…あう…」 「フウ…私としたことが、不覚を取ったワ… で!ですネ、カッコカリとはイエ、曙はテイトクとMarriageしたわけですヨ」 「…えっと、その…はい」 「その後は?私が見る限り何も進展無さそうデスけど」 「…はい…」 「フーム…何かしてあげないとって言いましたが、テイトクにも問題がありマスね。 あのヒト、変なところでshyでオクテで真面目ダカラ…」 そうだろうか?あの時、提督のセリフは馬鹿みたいに直球ドストレートだったし、思い切り抱きしめられて、その上― だ、だめだめ!思い出すと、また恥ずかしくて顔から火が出そう。回想やめ! 「どうやら少し強引な手に出てあげる必要がありそうデスね…」 「え…?」 ケッコンカッコカリから数日経った。 俺の一世一代の大勝負は見事成就したと言っていいだろう。あの時の曙を思い出すだけで、ニヤつきが止まらない。 しかし…問題はその後である。何か問題が発生したわけではない。その逆、何も起きていないのだ。 普通なら、デートに誘うあたりが定番なのだろうが…生憎、そっちの方は全く詳しくない。 というか…趣味、非番の時の過ごし方、好きな食べ物etc.… 曙のプライベートも殆ど知らないのだ、俺は。 オマケに提督業を縫って計画を立てねばならない。というか、最近は深海棲艦の新たな活動域が判明し、 俺の労働時間は不規則かつ長時間化。デートする時間などとてもじゃないが取れなくなっていた。 ベッドの中が唯一の癒しの空間である。 「ハァ~…曙に触りてェ…」 そんな欲望を漏らしながら寝室の扉を開ける。寝室と言っても執務室の奥にあるこじんまりとした私室である。 簡易ベッドと、少々の着替えや私物が置いてあるだけであり、実質仮眠室に近い。 しかし、鎮守府内では俺のただひとつのプライベートルームなのだ。 軍服を乱暴に服掛スタンドに引っ掛け、着替えもそこそこに布団に潜り込― 「…」 「…」 布団をめくると、曙がいた。目と目が合ったままお互い無言で固まる。 普段のセーラー服のような艦娘制服ではなく、薄いブルーのパジャマである。初めて見た。可愛い。 …などと、見とれている場合ではない。 「えっと、え…?曙?」 「な、何よ…」 「ほ…んものの?」 「は?何言ってんの?」 おお…この反応は、どうやら幻覚とかではなさそうだ。 「え…じゃあ、なんで?」 「…よ、夜這いよ」 ヨバイってあ、あの夜這いか!?あまりに予想外な単語に思わず素朴な疑問がこぼれ出る。 「…夜這いは相手が寝込んだところをに忍び込むものだから、正確には違うのではないだろうか」 「う、うるさいわね!そんな細かいトコどーだっていいでしょ!」 「しかし、よ、夜這いってお前…」 「…あの時に、あっ、あたしも返してあげるって言ったでしょ」 「…おう」 「で、でもっ…あ、たし…は、どうしてあげたらいいのかわかんなくって」 「…」 「こん…ある人にこんぐらいしなきゃ駄目だって、言われて…それで」 あ・い・つ・かー!! あの恋愛ジャンキーめ! しかし同時に脳内で高らかなファンファーレが鳴り響き、金剛への感謝と賛辞の合唱が始まる。 でかした金剛、特注家具職人を好きに1回使える権利を贈呈しよう。 「え…っと、あと、その人から言伝があって」 「な、なんだ!?」 「『女の子にこんなことさせるほど放置スンナこのクソテートク』…だ、そうよ…」 「……お、おう…」 暴走気味に上がっていたテンションが一気にどん底に突き落とされる。ファンファーレ中止。 俺は。あの、あの曙をこんな行動に走らせるほど、不安にさせていたのか… 「ち、ちょっと!そんなに落ち込まないでよ!」 「いや… こん…その人の言う通りだ…済まなかった、曙…」 「ふん…もういいわよ… で」 「え」 「…で?」 ベッドに横たわったまま頬を染めてそっぽを向いている曙。 全てを理解した俺は、そのまま布団の中に潜り込む。曙の、隣に。曙の覚悟に、報いるため。 て、提督が布団の中に、入って、入ってきたあ! 「曙」 「…っ」 隣に寄り添われているのがわかる。後ろにいる提督の腕があたしの体の横から伸びてきて、すっと抱き寄せられる。 わ、わぁーっ! さっきまでもこれ以上ないってくらいドキドキしていたのに、更に鼓動が激しくなったみたい。 「触るぞ」 緊張と高揚感でいっぱいいっぱいだったあたしは、何を言われたか理解する前にコクコクと頷いていた。 さ、触るって、え、えぇっ!?そういえばさっき部屋に入ってきた時触りたいとかって言ってたしでも触るってドコを!? しかし、あたしのイロイロな予想に反して提督の大きな手は、あたしの頭をくしゃくしゃと撫で始めた。 少し拍子抜けしたけど…いい。これはこれで、すごく気持ちいい。 心地よい刺激が、密着した提督の熱と合わさって、コチコチだったあたしの体と心を蕩かしていく。ずっとこうしていたい。 でもあたしの心は欲張りで、だんだんそれでは物足りないと叫びだす。もっと。もっと欲しい。 それを知ってか知らずか、頭を撫でていた提督の手も少し下がってきて、あたしの耳やほっぺたをスリスリと撫でる。 直接素肌に触れられると、安心とは違う別の熱い感情が膨らんでくる。 「…ぁ」 提督の指が唇に触れると同時に、あたしはほとんど反射的にそれを咥えてしまう。 少し驚いたように止まった指が、わずかに逡巡した後、あたしの口の中に入ってくる。 あたしはそれに夢中で吸い付いた。 「ちゅ… ふ、… んん、ちゅう…」 少ししょっぱい提督の指はたちまち無味に変わり、指どころか手のひら全体があたしの唾液でベトベトになる。 提督の手をあたしで汚してあたしのものにすることに、背徳的な満足感を覚える。と… じゅる、じゅちゅうううっ! 「ひゃ!?」 突然耳を舐められた!え、そ、そこって舐めるとこなの!? 「曙…耳、弱いんだな」 「な、にゃに言って―ぅぁっ…」 ヌルヌルした温かい舌の感触と大きな水音が耳朶から入り込み、頭の中が侵される。 それに堪えるだけでも精一杯なのに、あたしを背後から抱きしめていたもう一方の腕が、 あ、あたしの、胸を、服の上からさすっていて、布地と先っぽが擦れる甘い刺激が背筋を走る。 「はぁっ、はぁっ、ぁ、はぁっ、て…とく、んんっ、あっ、はぁっ…」 信じられないぐらい甘い声があたしの口から漏れていて、自分が興奮していることを否が応でも自覚させられる。 体を触られてるのに嫌じゃない。それどころか嬉しくて、もっと欲しくなってる。 あたしって…こんなに、えっちな子だったの? 「直接、触るぞ…」 「ぷぁっ、はぁっ、はぁっ、ああ…」 あたしの口の中から撤退した提督の指がパジャマの裾から侵入して、じ、直に、あたしのっ、お、おっぱいを、触ってっ… しかも指にはあたしの唾液がべっとりと付いたままで、それを塗りつけるように乳首を撫で、優しく押し潰されて… いつの間にかコリコリに硬くなっていたソコは、提督の指にヌルヌルと撫でられるたびにビリッと甘く疼き、 そのたびに堪えられない喘ぎ声があたしの口から漏れ出す。 「ひゃう、あ、ああ、そっ…こ、はぁぁっ、ああ、ひぃんっ…」 「曙。こっち向いて。俺を見て」 「はぁ、はぁ、…?」 首をひねると目の前に提督の顔があってドキッとする。軽口を叩いて笑っているいつもの顔じゃない、真剣で必死な表情。 ああ、そっか。こいつもあたしと同じなんだ。あたしの体を触って、あたしを抱いて、興奮してるんだ。 それを理解した瞬間、どうしようもなく提督が愛しくなって、あたしは自分から唇を重ねていた。 「ん…んん、ん…ちゅ、ふぅんっ…」 この間された時はびっくりするばかりだったけど、自分からするキスは、全く別物だった。 提督の唇や舌の感触。提督の熱い吐息。もう全部が気持ち良くて、あたしは夢中で舌を伸ばし、唇をはみ、唾液を舐めとった。 「んん!?ふうんんーっ…」 し、舌が入ってきたぁっ!?しかもあたしの頭の後ろに提督の手が回っていて、逃げられない。 くるしい。あたまのなかがあつい。でもきもちいい。もっとしてほしい。 「んふぅ、んっ、んちゅっ、んんーっ…ぷはっ! はぁっ、はぁっ、はぁっ…」 提督の舌があたしの口の中をさんざん蹂躙したあと、ようやく開放される。 いつの間にか提督はあたしに覆いかぶさっていて、全身を抱きしめられている。 熱に浮かされたまま、あたしもぎゅっとしがみつく。 そうしていれば、いつまでも提督と一緒にいられる気がしたから。 「…触るぞ」 「ふぇ…? ふあぁっ!?」 これ以上どこを触るのよ…のぼせた頭で、そうぼんやり考えていたら… …あたしの股の間に入り込んできた手が、パジャマ越しに、あっ…あたしの…をクニクニと揉んでいて… 「ひぁ、あっ、て、とく、そっこ、だ、だめっ、あ、あうぅ、あ、ああっ」 しかも、知らない間にソコは汗ではない液体で潤んでいて、揉まれるたびに濡れそぼった下着が擦れてビリビリと電流が走る。 「曙のここ、すごく熱い」 「ひぃん、はぁっ、や、やだぁ、そんなっ、こと、いわな、あ、ああっ!?」 今度はズボンの中に侵入してきた提督の指が、直接っ…あ、アソコを弄り始める。 自分でも数度しか触ったことのないソコはもうヌルヌルになっていて、それがアソコ全体に塗り広げられてクチュニチャといやらしい音を立てる。 特に、アソコの上にある…アレが撫でられる度、特大の電流が頭まで走って、言葉にならない声が喉から漏れだす。 アソコからの刺激が密着した提督から伝わる熱と一緒くたになって体の中で荒れ狂い、頭の奥でバチバチとスパークを散らす。 「やっ、やぁ…あ、あたしっ、なん、か、きゅうって、なんか、あついの、きちゃううっ…!」 「ああ。我慢しなくていいぞ…」 「はぅぅ、はっ、やっ、あっ、あ、あ、あうううぅ~~っ…!」 やがて…体内を駆け巡っていたうねりが頭を突き抜けていって、ポッカリと空いたそこに流れこんだのは、心地よい倦怠感と爽快感。 荒く息を吐いている間に熱も徐々に引いて、気だるげに首をひねると、心配そうにあたしを見る提督の顔が目に入った。 「ちょっと抑えが効かなくなってしまった…すまん。 曙、大丈夫か?痛くなかったか?」 こんな時まで気遣わせて。何やってんだ、あたし。 「…がう」 「え?」 「違うの。こんな…あたしがしてもらうんじゃないの。あたしが、して、あげるの。提督に」 そう。あたしがここまで来たのは― 「言ったでしょ…返してあげるんだって」 「いや、でもお前―」 「うるさい。黙って大人しくしてなさい」 少しふらつきながらも上体を起こし、提督を押し倒す。 そのまま汗で蒸れたパジャマを脱ぎ去り、用を為さなくなったぐしょぐしょの下着も脱ぎ捨てる。 この時点であたしの羞恥心は吹き飛んでて、意地でも提督を気持ちよくしてやるんだと意気込んでいた。でも… 「曙…」 「なによっ」 「体、きっ、綺麗だ…」 「~~~っ!?」 提督の言葉で一気にぶり返してしまった。恥ずかしさと嬉しさで力が抜けて、提督の体に倒れこみそうになるのをどうにか堪える。 多分無意識に言ったんだろうけど…全く、油断ならないんだから。 気を取り直して、金剛さんのレクチャーを思い出す。そう、実は付け焼き刃ながら、その…やり方を教わったのだ。 (そんなに難しくないのヨ。要は、自分がしてもらったらPleasureなコトをしてあげるのデース!) ふむふむ。つまり、さっきしてもらったようなことをしてあげればいいのね… さ、さっきしてもらったこと… ……! 「ど、どうした曙。大丈夫か?さっきから固まってるが…」 「だっ、大丈夫よっ!じゃ、じゃあ、始めるわ…!」 意を決して提督に覆いかぶさり、唇を食みながら頭や顔、腕を撫でる。 「ん…ちゅ、ぷぁ、ふぅんっ はぁ、ううんっ…はぁーっ、はぁーっ、ああ…」 デスクワークが中心なはずなのに、意外に筋肉が付いている…やっぱり軍人ってことかしら。 「ううっ…あ、あけぼの…うあっ」 さっきのあたしみたいな声を上げてる…気持よく出来てるってことよね、うん。 キスも、目についた場所に次々投下していく。喉元にしてあげるのが一番いい反応してくれることを発見。ちょっと気分がいい。 してあげている間、提督はずっと頭や背中を撫でてくれてて、まるで褒められているようで嬉しくなってしまう。 もっとしてあげたい。提督のシャツを脱がして、露わになった肌に覆いかぶさる。 遮るものがない素肌同士の密着は、やっぱり布越しとは比べ物にならなくて、その熱だけであたしの思考能力を奪っていく。 「ちゅ、れろ、んふ…ちゅっ、ちゅ、ふう、ふうっ…んん…」 肌に舌と唇を這わせながら、少し手こずりながらも提督のズボンを脱がせることに成功。 うわっ…すご、膨らんでる… (女の子のとおんなじで、ビンカンで気持ちいいそうデース。そっと触ってあげるのがbetterでショウ!) 恐る恐る下着の上から触っただけでも、ソコが放つ熱で手が熱くなる。 「うあっ…! そこ…ううっ」 うん…痛がってる様子はない。というか…提督の懇願するような表情がやばい。ゾクゾクする。 気を良くしたあたしは、パンツを脱がせてそれを露出させる。 …うわっ、うわあ…これが、提督の… うん、よし… (いきなりだとトテモpainだそうデスから、ゆっくりネ。入りやすいように濡らしておけばmore betterヨ! これでアナタもテートクと一つに…!so fantastic! テ、テートク、そんな大胆な…oh YES…! ah…) 始まってしまった脳内金剛さんから意識を切り離し、目の前に集中。 意を決して提督にまたがり、熱いソレを持ってあたしにあてがう…ああ…あたしのが、提督のに、当たってるよお… 少しずつ、少しずつ、腰を落としていく…先っぽが、あたしに、入ってくる…っ… 「…~~ッッ…」 やっぱりというか、提督のソレは大きくって…あたしのが小さいのかもしれないけど…すごく、痛い。文字通り、体が引き裂かれてる。 でも、でもっ…! 「っひゃっ…!?」 …と、寝ていた提督がいきなり起き上がって天地がひっくり返った!何!?どうなったの!? ばふん、と音がして、あたしは提督に抱きしめられたまま仰向けになっていた。 「…いい。曙。無理しなくていい」 「違っ…無理なんてしてない!あたしは―」 「貰ったよ。十分…お前の気持ちは伝わった。でもな…こういうことは、女の子にやらせるのは…なんかその、ダメだ。 ケッコンしてくれなんて言っといて、放っぽってた俺が悪かった…すまん」 「違うの…謝んのは、あたしなの… 『前』の、あいつらは、あたしたちのことっ…全然、見てくんなくって…」 「うん」 やばい。頭の中が沸騰してて、何言ってるかわかんない。勝手に口が動いてる。 「悔しくって、悲しくって、でも、あんたはっ…違って、あ、あたし、酷いことばかり、言ったのにっ…」 「大丈夫。俺はお前を見てる。ずっと居てやる…いや、居てくれ…曙」 「提督、ごめんなさい…ありがとう、提督…」 「うん、うん…曙」 「ん…んちゅ…ふ、ふう…ん…ちゅ、ちゅくっ、あ、んん…っ」 慰めるような、優しいキス。昂っていた心が落ち着いて、でも、ふわふわとした高揚感で満たされていく 戦闘に勝利した時とも、朧や漣たちと過ごしている時とも違う、甘くて熱い、幸福感。 「曙…いくぞ?」 「…うん」 抱きしめられたまま、耳元で囁かれる。 「…っ」 直後、さっきと同じように提督のがアソコにあてがわれる。やっぱ…大きい。 大きいけど、さっきあたしが入れようとした時よりも…なんか… 「そう…そのまま、力抜いて…」 「ふっ…う…うう…」 提督の先っぽが…あたしのを押し分けて…入ってっ…くる…っ 痛みはさっきほどでもないけど…異物感というか、圧迫感が…すごい。 やがて…ぶつんという感触のあと、てい、とくのがっ…あ、あたしの、ナカに…っ 「かはっ…!あ…あっ…はっ、はっ、はっ…」 「はあっ、はあっ、お、奥まで入ったぞ、曙…」 「は…はい…って…?あ、あた、し、て、とくと、ちゃんと、できて、る…?」 「ああ…!ちゃんと、できてるぞ…曙、俺と、セックスしてる…っ」 「はあ、はあ、よ、かった…す、すきにして、いいからっ…!」 金剛さんに教わった最後のワードの効果はてきめんだった。 提督の目から理性の光が消え、あたしのおなかのナカを提督のがぐりぐりとかき回し始める。 「…っ!う…うう、う、あ…っ、てい、とく、ゆ、ゆっくり、あ、痛っ…ああっ…」 「すまん…っ あ、あけぼのっ…やば、俺、とめらんなっ…も、もうちょっと、がまん、うあああっ…!」 いたい。あつい。くるしい。でももっと。もっとあたしにむちゅうになって。もっとあたしをみてほしい。 あたしも、ていとくがくれるもの、ぜんぶうけとめてあげる。 「う、ああっ、てぃ、とく、のが、ああうっ、お、おく、まで、あ、そんな、ついた、らぁっ…」 「ああ、あけぼのの、なかっ、すごいっ… うあっ、はあ、はあ、そんなに、しめられると、や、ばいって」 「し、しらないわよっ、はあ、ああっ、か、かってに、なるん、ああっ!?そこだめ、へんになるよおっ」 「うああっ…あけぼのっ…好きだっ…あけぼのっ…!」 「んぅっ、はうっ、あっ、あ、たしもっ、あんっ、ふぁっ、あっあ、ああぅ、んんっ」 「あけぼのっ… もうっ、俺…っ イ、く… っ」 そして、提督が一番奥に突き込んだ瞬間…それは突然訪れた。 どぐっ!びくっ、びゅぐーっ!どぷっ…びゅくっ、びゅく、びくっ、びくっ… 腰をめいいっぱい密着させたまま、あたしの中で、提督のが大きく脈打って、熱いものを次々と注ぎ込んでくる。 その間熱くなりすぎた提督の体にギュッと抱きしめられてて、今更ながらに苦痛がほとんどなくなっていることに気づいた。 「はぁっ、はぁっ、あ、あけぼの…はぁ、はぁ、だ、大丈夫か…?」 「はぁ…大丈夫なわけないじゃない…痛いって言ったのに」 「す、すまん!」 「ゆっくりしてって言った」 「悪かった!アタマに血が昇って止められなかったんだ!すまん!」 「…で?」 「…え」 「その…キモチ…よかったの…?」 「あ、ああ!そりゃもちろん!さっきの俺見てりゃわかるだろ?」 「…そ。ならいい」 「え…」 「提督に…ちょっとでも、返してあげられたんなら、…よかった」 「~~~っ お、お前ってやつはぁっ…」 そう、あたしの体はどう贔屓目に見てもかなり幼い。 正直、提督を受け入れられるのか、満足させられるのか…それが一番怖かったのだ。 でも何とかなったみたい。何か悶えてる提督を横目に見ながら、あたしはそのことに小さく安堵し… …あれ…なんだか、視界が狭く… 「…でも…次は、もっと、やさし…く…」 「つ、次って…お?あけぼの? ―ぼのさん?おーい…―」 「…ここ…あたし…?」 「おー。やっと起きた。おはよう曙さん」 視界の隅で、ベッドからむくりと起き上がる曙の姿を捉え、俺は時刻的にだいぶ遅めの挨拶をかけた。 ぼんやりと見渡す曙の目に突然理性が灯り、次いで面白いように赤くなっていく。 「う、あ、お、おはよ…」 「あー…まあ何だ。…すごく可愛かったぞ? ぶほおっ!!」 いろいろ思い出しながら曙の方に再び目を向けると、ちょうどそこにはすごいスピードで俺の顔面めがけて飛んでくる愛用の枕(少し固め)が。 その衝撃から何とか立ち直り、何やらテンパっている曙に声をかける。 「待て落ち着け、今日は曙は出られないと説明してある。落ち着け」 「そっ… そうなの…?」 「ってて…う、動けそうになかったしな…俺が面倒見るということにした。体、大丈夫か…?」 改めてぺたぺたと自分の体を触り、なぜか少し赤くなる曙。 「…だるい」 「だろうな。一応蒸しタオルで拭いておいたが…風呂に入って、今日は一日休みな」 「えっと…ありがと。そうするわ…わわっ!」 「おっと…大丈夫か?」 ベッドから起き上がろうとした曙があえなく失敗する。やはり、昨日は少し無理をさせすぎたようだ。 「腰…力、入んない」 「しょうがないな…ほら、おぶされ」 「あ…う、うん」 いつになく素直な曙を背負って、部屋を出る。 …たまには、こんなしおらしい曙もいいもんだ。いや、いつもの曙もあれはあれで可愛いんだが。 「いや~、昨日はちょっと張り切りすぎた…いたっ!いててて、な、殴るなって!」 背後から無言の抗議が飛んでくる。やっぱり、もうちょっとしおらしい曙が増えてくれてもいい。 「ってて…なあ、曙」 「…何よ」 …さて、朝から考えていたことを切り出さないと。金剛の、耳に痛くて有り難いあのセリフが脳裏に蘇る。 曙にあんなことをさせた失態は、俺が挽回せねば。 「今度、どっか行くか…二人で」 「え、あ…うん」 それだけかよとか言うな。これでも精一杯考えたセリフだ。すこしずつ、第一歩が肝心なのだ、うん。 「今までの分、取り返さないとな」 「…あたしも」 「うん?」 「あたしも。これからたくさん、お返ししてあげるから」 「~~っ、お、おう…」 思わぬ返答に悶えながら、俺は辛うじて返事する。 この憎たらしい、愛すべき小さなクソ艦娘との『これから』を夢想しながら… +後書き 270 :名無しさん:2014/06/02(月) 00 01 04 ID 8msYtwJY おわり。スレ汚し失礼しました ノベルの陽炎抜錨の曙がクッソ可愛いので、皆買うように(ダイマ) これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
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前回の話 軍艦に限らず、"初期型"や似た意味の肩書きを持つものとはその能力に不安が残るのは当然の道理だが、 それでも何とかなって長く使われると言う事例のものは多い。 その例に漏れず、大日本帝国初の超弩級戦艦でありながら欠陥呼ばわりされてきた扶桑型も 多岐に及ぶ出撃や演習、遠征の甲斐あって、最近は貫禄が出てきていた。 おかげで、今日は午前のうちに南西諸島海域の敵影を鎮圧出来た。 しかし、執務を手伝う隣の山城を悟られないよう横目で見て思う。 この山城は貫禄があると思えば愛嬌もある事を最近の自分は見出してしまっている。 不自然に高い頻度で鉛筆の芯を折っては"不幸"だと呪詛のように呟きながら鉛筆を長時間削っていたり、 高い位置に置いてある書類の束を持って来させようとすると紙の雪崩が発生、 それに合わせてこけては白い山の中で"痛い"と悲痛な叫びを上げる。 今挙げた事は幾つもの逸話の極一部だが、 これだけでも山城の持つ独特の雰囲気は八分は理解出来ると言える。 山城は戦闘における練度が上がっても、根っこの部分は不変であった。 その愛嬌をもっと引き出そうと、最近は鉛筆を芯の柔らかい五Bの物に変えたり、 山城に手伝わせる書類の束を以前より分厚くした上でわざと高所に置き、 更に脚立まで紛失したように見せかけて工廠で解体して貰った事は秘密だ。 特に後者について、山城は自分と同じ位の背丈を持つ癖に、三度に一度はこけて紙に埋もれる。 ここまでやらかす頻度が高いと山城もまたわざとやっているのではないかと勘繰る。 愛嬌がある事に変わりはないが。 「……提督」 なんだ。 羨ましがっても私と同じボールペンは貸してやらないぞ。 お前に使わせると不幸故か短期間でインクが固結するに違いないんだからな。 「酷い言い方するのね。……じゃなくって」 羨ましがっていた事は否定しないのだな。 山城は私に訴えるような目付きで抗議してくる。 「提督の手が止まってます。……もしかして、提督も処理の仕方が分からない書類が出てきたとか?」 科白だけ聞けば健気に心配してくれているようにも聞こえるが、勘違いしてはいけない。 山城は私の汚点でも見つけたように にやにやした顔を向けているのだ。 此奴は私の弱みでも握りたいのだろうか。 握るのはその鉛筆と主砲の持ち手だけにしてくれ。 「別の考え事をしていただけだ。お前の助けは要らん」 「……この執務放り出していいかしら」 せっかく筆を走らせようと紙に目を落としたのに、また上げる事になった。 それはやめてくれ。 自分一人では満足に昼飯にもあり付けない。 「だったら今の発言取り消して下さいよ」 分かった。 悪かったよ、お前がいないと駄目だ。 最近は特に助けられているからな。 「も、もう。そこまで言いますか……」 山城は私から目を逸らしてそう呟いた。 そっちの方向には何もないぞ。 満更でもなさげなのはいいが、執務を再開しないか。 「は、はい。って、提督のせいなんですけ……」 ぐうぅっ。 「…………」 「…………」 なんだ。 こっちを見るな。 屁ではないぞ。 「ぷっ、あはは! まだ終わってないのに、正直ですねぇ」 五月蝿い。 空腹には逆らえんのだ。 少し早いが、昼食に……。 自分は言葉を詰まらせ、カレンダーを見やった。 そうだ。今日は土曜日ではないか。 無邪気に笑う山城に水を刺すように、思いついた名案を口にする。 「そうだな。今日は山城にカレーを作って貰おうか」 「くすくす……、え、カレーですか? 出来ませんよ、そんなの」 だろうとは思っていた。 山城に調理を手伝わせた事はなかったからだ。 だからと言ってそれを悪びれず言っていい理由にはならないぞ。 「私が作りながら教えるから。ほら行くぞ」 「提督が作るんですか!? ちょっと!」 …………………… ………… …… 「では、調理演習を始める」 提督は別の料理を仕込む間宮さんに断りを入れてから、焜炉を一つと割烹着を二つ貸してもらう事になった。 似合わない割烹着に身を包んだ提督は、本気で私の指導役を努める気の様子。 でも、それなら厨房を仕切っている間宮さんに教わった方がいいんじゃ……。 「間宮は見ての通り忙しいんだから駄目だ。カレーなら私でも上手くできる」 「いえ、後は煮込み作業だけなので忙しくはないんですけどね」 間宮さん、こう言ってますけど。 「……いいから始めるぞ」 提督は姿勢を揺るがせずに、迷わず戸棚や冷蔵庫から包丁や食材を取り出し始めた。 間宮さんも本当にやる事は終わらせたようで、提督に何も口出しせず黙って見ている。 私は間宮さんに近寄り小声で話しかける。 「間宮さん、大丈夫なの? 提督が料理なんて……」 「提督さんは出来る方ですよ。 特にカレーは自分好みの味がいい、って、ルウや食材を指定してまで秘書さんに教えてるんです」 間宮さんから教わろうとする私を止めたのはそういう理由だったのか。 我儘なところがあるのね。 でもこれって、私達艦も食べて良いように多めに作るんですよね? 提督好みの味にしちゃっていいの? 「提督さんのカレーは辛くないですし、味も良いので皆さんには受け入れられています」 「何を話している?」 「へっ!?」 私は素っ頓狂な声を上げた。 提督は馬鈴薯と包丁を手に持って、怪訝な顔付きで私達を見ている。 顔付きは険しいのに、割烹着と両手の物のせいで間抜けだ。 「ほら、山城さん」 私だけに聞こえる声で、間宮さんがとんと私の背を小さく叩く。 それに押されるように私は提督の傍に寄った。 「間宮の負担を軽減する為だ。しっかり覚えるんだぞ。まず馬鈴薯の皮剥きからだ」 壁にかかっている皮剥きの道具は無視ですかそうですか。 初っ端からハードルの高さを前に、私はやる前から根を上げたい思いに包まれた。 かつて鬼呼ばわりされていた私でも、戦争とは無縁のこう言った事に関しては何の予習もしていない。 「なんで人参は皮剥きの道具使って馬鈴薯は使わないのよ……」 「馬鈴薯は凸凹しているから大して効果はない。因みにそれはピーラーと言う」 ご丁寧に器具の名前まで教える提督は、人参の皮を剥く私の横で私の手付きを睨んでいた。 少しやり辛い。 それでも馬鈴薯に比べれば楽だ。 人参の皮はピーラーによってするすると簡単に剥けてくれる。 対して馬鈴薯の方は目も当てられない形に変えられた。 提督の手付きは確かなものだったけど、見ただけで会得出来るわけがない。 自分の不運さを恐れた私は、何も起きないようおっかない手付きで包丁を扱い、身も多く削って皮を向いた。 案の定、馬鈴薯は小さくなった。 馬鈴薯と同じ要領で、乱切りとかいう切り方でさっさと切ってまな板の脇に寄せる。 まな板が狭くなってきた。 「おっと、鍋を出してなかった。山城、そこの戸棚から鍋を」 忘れていたように提督が指を差す。 そこは頭より僅かに高い位置にある上の戸棚だった。 場所も覚えろという事だろう。 間宮さんより背丈ある私は台を探す手間を惜しみ、腕を伸ばして把手を引いた。 すると。 がらがらがしゃーん!! 「いっ! 痛い! ……やっぱり不幸だわ……」 戸棚を開くや否や、いくつもの金物が一丸となって私を襲ったのだ。 最初に一撃を頭にもらって床に尻餅を付いただけでは許されず、 更に多くの金物の雪崩が私や床に降り掛かる。 床に落ちた物は耳をつんざく不快な音で耳を攻撃してくれた。 私を心配する一人と一隻が慌ただしく私に近寄る。 「山城さん、怪我はない?」 間宮さんが、申し訳なさそうに私を見つめている。 戸棚を開けた直後の刹那、いくつもの鍋が整然と積まれていたのを見えた私は、間宮さんを責める気は起きなかった。 大丈夫よ。間宮さんは悪くない。 私の不幸が招いたんだし、寧ろ傍に間宮さんがいなくて良かった。 「大丈夫か!?」 提督は必死の形相で私を見つめている。 こんな事は日常茶飯事なのに、まして敵駆逐艦に攻撃されるよりも軽い程度なのに、 提督の形相は私が敵戦艦から被弾されたときと同じだった。 馬鹿じゃないの。 何の問題もない意を伝えて頭に乗った鍋を退かす。 「あ、山城……」 提督が何かに気づいたように私の名前を呼び、不意に手を伸ばしてきた。 何故か、スロー再生されているような感覚に陥る。 そのとき私は秘書に舞い戻ってすぐの、あの出来事が脳裏に浮かび上がっていたのだ。 あのときと違い恐怖感は感じていないが、咄嗟の事で私は目を瞑る。 ――な、撫でられ―― 「……?」 目を開く。 提督が撫でているのは、艦娘として蘇ってから持った頭部ではなかった。 私が艦の頃からの頭部。 提督は私の艦橋を触っていた。 迎撃しようとしていた私は、思わぬ勘違いをやっと自覚し、羞恥に悶える。 これではまるで期待していたみたいで……。 「艦橋が壊れているじゃないか」 「え? ……」 一先ず調子を取り戻そうとする前に、提督の言葉に私は耳を疑った。 呆けて自分の頭にそびえ立っているはずの艦橋の具合を確かめようと手を伸ばす。 ぴと。 「……っ!」 ――い、今提督の指に当たった? 当たった!?―― 硬い鉄の感触だと思ったら感じたのは柔らかくはない肉の感触。 私はたったそれだけの事に驚いて手をさっと引っ込めた。 提督もまた私の様子に驚いたように手を引いた。 訪れる謎の沈黙。 どうしよう、この展開。 ほら、後ろの間宮さんも微笑ましいものでも見るようないやらしい目になってるわ。 提督は早く何か言って下さいよ。 「……か、艦橋はデリケートだから、あまり触らないで頂けますか」 あれ。 冷静に動転した私は、誰かの科白を引用、というより盗用してしまったような気がする。 私が不幸で間抜けな姿を晒してしまった事が。 心配してくれる提督が私の繊細な艤装に触れた事が。 提督の手と私の手が当たってしまった事が。 多くの要因が重なって羞恥に悶え、少し汗ばむ程に顔を熱くさせる。 心配する提督の手を突っぱねるように頭を小さく振るが、 提督は提督でどう反応したらいいか困ったように言葉が出ないらしい。 間宮さんの鶴の一声があるまで、私と提督は沈黙の渦潮に巻き込まれたままでいた。 間宮さんが鍋の山を戸棚に戻し始め、 それに合わせて普段の調子を取り戻した提督のおかげで作業は再開された。 不幸ぎりぎりの淵を歩くように危なっかしくも下ごしらえを済ませる。 鍋を焜炉に設置し、仕込み作業も終えて煮詰めてゆくだけとなった頃、時計は正午を過ぎていた。 灰汁もそれなりに取り除き、具材に火が通るまでの時間が退屈だ。 「カレーの隠し味に、チーズや蜂蜜を入れる手もあるそうですよ」 「色々あるんだな。私はチョコレートを入れる話を小耳に挟んだ程度でよく分からなくて……」 鍋を注意深くじっと見つめる振りで、私は提督と間宮さんの談話に耳を傾けていた。 間宮さんと料理談義なんか出来る提督と違い、私は経験がないからそんな話は出来ない。 置き去りにされた心境だ。 楽しげに にこにこ笑う間宮さんの隣で、私に背を向ける提督がどんな顔で談話に励んでいるか分からない。 この境遇に私は不満を覚えるようになってくる。 決めた日の深夜には誰もいない海辺で提督ともやもやを共有しているのに、 私だけがこのもやもやを味わうのは初めてのことだった。 非常に気に入らない。 これも自分の招いた不幸というやつなのか。 でもカレーを作ると言い出したのは提督だし。 私はカレーが煮上がるまで、こうした煮え切らない思いを誰にも気づかれずふつふつと一人煮込んでいた。 「どうだ?」 「美味しいです……」 皿によそったカレーライスを口に含み、代わりに私は提督がお望みだろう言葉を口にする。 実際美味しいと言えば美味しいのだけど、私は未だに煮え切らない思いを抱えていて、 笑って喜ぶほど味は伝わってこない。 自分の声が著しく低くなっているのが自覚できる。 私のそんな調子を知らない提督は首を傾げ、自身の分を口に運ぶ。 「こんなものだな。今は一先ずカレーだけでいいから、山城もこれくらいの出来を目指して欲しい。 私も演習は付き合うから」 山城"も"。 敵艦が放って私に向かってくる弾丸をぼけっと見つめていたり、 降ってくる書類や艤装や鍋の山に反応出来なかったりするくせに、提督の言葉に私は敏感に反応した。 "も"という辺り、また間宮さんも言っていたように提督は色んな艦と演習をしてきたんだ。 提督がそういった意味で放った証拠や確信はないのに、私は勝手にそう思い込む。 「……随分と、間宮さんと仲が良いんですね」 ――私情で艦と談笑に励む姿なんか全く見せないくせに―― 私は言葉の後に心の中でこんな嫌味を付け加えた。 私だけだと思っていた。 出撃や作戦会議以外の用事で艦娘を呼び付けることがなく、 たまに工廠へ行けば建造の指示を出し、入渠中の艦娘がいる修復ドックへは近づこうとせず、 毎日足を運ぶ食堂も注文して完食して挨拶だけして終わり。 多くの艦から提督への印象を推測すると、"普通の上官"でしかないだろう。 今までそう思っていた。 「うん? 偶に話す程度だよ」 食事の時間のためか、提督の口調は煮通った馬鈴薯のように柔らかい。 "偶に話す"にしてはカレーの煮込み時間を有効に潰してましたね。 数ヶ月秘書を続けても、提督の知らない部分はまだまだあるようだった。 厨房に張り付いている間宮さんの方が、私より知っているんじゃないか。 空いた時間に提督と談笑できる事と、できない事。 この事柄だけでもその差をよく表している。 私は考え事をしながらもそもそと口を動かしているが、提督はもう皿の半分は消費したようだった。 そして不意に口を開く。 「近いうちに山城の作る美味いカレーを食べたいものだな」 間宮さんが言っていた言葉を思い出す。 提督は間宮さんを気遣う事を言っていたけど、本心はこの科白なんだろうか。 腹で鳴いた虫を押さえつけて私に指導するくらいだし。 私の願いを受理しそのまま数ヶ月経つ時点でそうなのだけど、嫌われているというのは私の思い違いで、 こう言われてやっぱり提督から悪くは思われていない事を改めて噛み締める。 不思議と陰鬱な気分はどこかへ吹き飛び、提督を見上げた。 提督は、少し照れ臭そうに口角を上げていた。 私は湧き出た感情をよく分からないながらも素直に受け入れ、顔には出さずに思う。 やっぱりこの人なら、私に幸せをもたらしてくれるに違いない、と。 …………………… ………… …… 演習を終え、執務を終え、明石さんに欠けた分の艦橋を作ってもらい、今日やらなければいけないことは終わった。 夕飯も済ませ、一日の疲れをドックにてお湯で流してみれば、海は不気味な闇に包まれたばかりだった。 だが、かつての悪夢の舞台であった海のことなんか全く気にせず、 私は私なりに身の清め方を念入りに考えながらドックに入り浸っていたことを振り返る。 普段通りに疲れを流して早々と出て行った姉が、 自室で再会してみれば普段よりも早く眠りに就いていたのが不思議だったが、 私は眠る姉に小声で謝罪の言葉をかけてきた。 日付が変わるのを待たずに、誰もいない執務室の奥の扉を叩き、最早慣れた言葉をかける。 「今日も、月が綺麗ですね」 『…………。そうかもな』 沈黙の後、扉越しで入室の許可が降りたので、私は扉を開けた。 提督は、起き上がって寝具に腰掛けて待ち伏せていた。 じっと提督の目を見つめ、後に引けないよう後ろ手に扉を閉める。 「前に私がお願いしたことの三つ目、覚えてますか」 「……よく覚えているよ」 提督は、今更何を言い出すのだろうとでも言いたげに少し間を置いてから返した。 今更なのは私もよく分かっているけど、構わず俯くように頭を下げる。 「ごめんなさい。あのとき私は自分と提督に嘘をついていました。 ……でも、あのときから私は自分にとっての幸福を考えてきたんです」 今までの事を振り返ってみれば思い浮かぶのは、後継の戦艦組のこと。 私の練度は上がってきたが、元々の性能に大きな高低差があるので結局は勝てない。 練度があの戦艦組より上になっても、 敵艦を一撃で葬れる能力に勝ることはできない。 練度を上げれば上げるほど私の実力を明確に見つめられるようになっていき、 私の劣等感はますます強くなってきたのだ。 いくら頑張ったところで生まれ持った錘は断ち切れない。 「もう不幸から抜け出す事は諦めましたけど、それが辛くなくなるくらいの幸福が欲しいんです」 近代化改装を行えば別の欠陥が浮き彫りになる経緯を嫌というほど歩んできた私。 一度死んでから艦娘として蘇生されても、私が"山城"である以上、ついて回る欠陥の肩書きからは逃れられなかった。 私はその事を悟った。 だから、もう"山城"なんてどうでもいい。 解体されて艦娘としての戸籍を失ってもいい。 私はそういう気持ちで提督に追加でお願いをする。 「……おいで」 黙って話を聞いていた提督が私を招く。 よく分からないまま、私は寝具をぽんぽん叩く提督に従い、上がり込んで横になった。 それを見届けてから、提督も同じように狭い寝具に潜る。 私と距離を開けるように落ちそうなくらいに寝具の端で横になり、布団をかけてしまった。 「……え?」 素っ気なく天井を向く提督の意図が分からない。 私の話が聞こえなかったのだろうか。 横顔を見せる提督はそのまま不意に口を開いた。 「こういうのも、幸せの一つだと思うんだが」 私は頭が真っ白になった。 これが私の望んでいたことだと? ふざけないで下さいよ。 私は提督の作戦に、初めて異議を唱える。 「……!」 私は、ばさっと提督のかけた布団を乱暴に退かした。 床に落ちたが汚れることなんか気にせず、 私は提督に馬乗りになってその両手首を鬱血するほど握り締め寝具に強く押し付ける。 思いのままに激情で声を荒げる。 「私じゃ駄目なんですか!?」 「確かに私は欠陥ですけど! 一回くらい大きな幸せを望んだっていいじゃない!」 「落ち着け」 だが、馬乗りにされて身動きの自由を奪われても提督は抵抗しない。 見下ろす私を睨みつけることもしない。 ただ真顔で私の目を見つめるだけ。 ただ静かな声で私を嗜めるだけ。 「別に山城が幸せになっちゃいけない訳じゃない」 「私が他人に幸せなんか与えられると思ってないだけだよ」 私はそれを聞いて、艦橋に昇っていた血が引いていく感覚を覚えた。 すーっと冷静になった私は改めて提督の目を覗く。 提督はあくまでも他人事のような口調でいたが、言霊とは不思議なもので、 そんな嘲笑うような話を聞くと提督の目から覇気がなくなっているように見える。 提督はやっぱり、根っこのところは私と似ている。 この人も結局は自信なんかないのか。 この湧き起こる感情はなんだろう。 同情ではないはずだ。 そういった哀しい気持ちではない。 私はこうして馬乗りになっていなければどこかへ消え入りそうな提督に、鎖になるような言葉をかける。 「私の幸福のためには、提督が必要なんです。私に幸せを教えて欲しいんです」 「提督の手で、私を近代化改装して下さい」 …………………… ………… …… 提督は再び寝具に横たわるよう指示したが、今度はしっかりと私に向き合ってくれている。 巫女服の帯を外され、前を肌蹴させられる。 まるで明石さんや妖精さんに見て貰っているみたい。 でも全然違う。 「ど、どうですか? 私の艦体、欠陥とかありませんか……」 恥ずかしい。 欠陥持ちの自身を提督に全て曝け出すのに抵抗が全くないと言えば嘘になる。 自信なんかなくて、晒された胸を、腹を両手で隠す。 「確かにお前は欠陥持ちなのかもしれないな」 私を見下ろす提督は無慈悲にもこう放った。 とてもぶっきらぼうで、心のどこかでそれを否定してほしかったと悲しむ自分がいる。 だけど、提督の言葉はそれで終わりではなかった。 「只、それ以上に山城には魅力を感じる」 ――やっぱり、反則だわ―― 私の凝り固まっている心と身体は、いとも容易く提督に解されていった。 私の身体が欠陥持ちなせいで、簡単に弾薬庫に引火する。 消火もままならず、優しいながらもその中に激しさを含んだ手付きで提督は私を溶かし、 新たな形へと近代化改装させていく。 私の身体が私の身体でないみたいに、提督のものになったようになる。 自分の制御が全く出来なくなり、 熱い海に漂流したころ、提督は一旦手を離して意味の分からないことを囁く。 「あのな。本当の夜戦というのは、ここからなんだよ」 「はぁ……、はぁ……。え……?」 夜戦? 近代化改装? もうどっちだか分からない。 どっちでもいい。 ぼんやりした頭では考えられない。 とっくの昔にスカートを外され、色気皆無の褌も緩められ、 何も遮るものがない私の足の間を提督は割って入ってくる。 次は何が来るのかと予想もできないまま、私は突然もたらされた痛みに悶えた。 「痛っ、ぃ……! やっぱりふこっ……、だわ……!」 苦しい。息が乱れる。 悲鳴を上げずにいられない。 寝具の布にぎゅっと捕まる。 強く瞑った両目のうちの片目を開けてみると、私の下腹部と提督の下腹部がくっついていた。 いつの間にか肌蹴ていた提督の下腹部から伸びる砲身が、直に私を貫いていた。 「辛いか……抜こうか」 提督が下腹部を引こうとする。 ずずっ、と、狭い私の中を提督の硬い砲身は動く。 痛いにも関わらず、私は反射的に声を絞り出す。 「あっ……、だ、駄目です……。幸せのためなら、これくらいの痛み……っ、 ひっ、ぐ……、ここまで来て、やめるなんて……!」 「……ゆっくり進めるから、我慢してくれ」 提督はそれだけ呟いて、引いたそれを再び私の中に押し込む。 潤滑油が不足しているというよりも私の中が狭すぎる故か、動きは良くない。 「ぁ、あぁっ、いや、いやぁ、あぁ、ああぁあぁ……」 やめてほしい。やめてほしくない。 私の葛藤は互いに勝敗が決まらず、その戦況が自然と口で提督に報告される。 ぐちゃぐちゃになった思考は提督にずんずんと突かれることで、更に攪拌されてゆく。 いつまで経ってもそんな調子でいる私に痺れを切らしたように、提督は行動に出る。 みっともなく揺れる私の胸を。 忙しなく左右に振る私の頭を。 提督は情を込めた手付きで私を扱ってくれる。 大切にされている。 乱れる心情の中、提督の思いは一直線に私の中を貫いた。 私の奥に、提督の熱いものが、熱い思いが、絶えず何度も何度も強い衝撃で届けられる。 「あっ! あう! んっ、んんっ、んや、や、ぁ、私、こんなのっ、知らな、いぃっ!」 どれくらい突かれただろう。 いつの間にか私は苦痛から解放されて、脇目を振らず声を上げていた。 提督の動きも速いものに変わっている。 私がそれを止める選択肢はなく、全ては提督に託している。 身体全体の、特に下腹部の熱が提督の動きに合わせてじんじんと脈打つ。 もうこれ以上は無理だと訴えかける奥底の私の小さな叫びは伝わることなく、無理矢理上り詰めていく。 そして。 「くっ……!」 「あっ……、ああああああぁぁっ!!」 提督が砲身を私の奥に叩きつけ、硬直した。 提督の砲身が私の中で膨らみ、その直後、私の最奥を熱い何かが満たしてゆく。 私の弾薬庫はそれに引火し、爆発を起こした。 全身が痙攣する。 提督から発射された弾丸を愚直に受け止め、私は何もできない。 しばらくして提督の砲撃はやっと収まり、やがて砲身が私の中から抜き出された。 「はあ、はあ……。近代化改装、これで、いいだろう……?」 提督はそんなことを聞いてくる。 成功したと思う。 提督の熱いものは貰ったし。 しんどかったけど、最後はその、気持ち、良かったし……。 確かに、幸せ、だった。 しかし私は息を荒げながら小さく顎を引くだけしかできず、息を整えたときにはもう意識が落ちていた。 …………………… ………… …… 翌日。 何事もなかったかのように朝は始まった。 実戦の先駆けに演習を行うと、とても調子がいい中勝利判定を得られた。 気を良くした提督は、褒められて気を良くする私に、 私だけに分かるようなほんの僅かな程度に含み笑いを浮かべて言う。 「山城は昨日久し振りに近代化改装したからな。頑張るんだぞ」 私が昔に近代化改装の限界を迎えている事を知っている随伴艦は戸惑う。 姉はどうなのか分からないけど、そんな姉含む随伴艦の様子を尻目に私は密かに優越感を感じていた。 ずっと前は責任感だとか義務感だとかで海へ出ていたけど、今は違う。 ついてきてくれる姉に褒められたくて。 帰りを待つ提督に褒められたくて。 姉や随伴艦を率いて、暁の水平線に勝利を刻む約束を、提督と刻む。 「提督……山城、必ず帰ってきます」 私は艦隊の先頭に立ち、岸壁から海面へ意気揚々と進水した。 陰りない朝日が、海面の波をきらきらと白く輝かせているのが眩しかった。 これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
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『それはいつ建造されたのか誰も…』「たまには艦載機の整備以外で余暇を過ごすのも良いな、伊勢。」「日向ったら半ドンでも仕事して。でも航空戦艦四隻だけでカラオケなんて久しぶりかも。」「そう…かしら。日向も伊勢もドリンクバー行って来たら?」「姉さま、タンバリンとマラカス借りてきましたわ!」~歌唱中~「さて私の十八番ね。赤猫行きます!」「山城それは伊勢や日向がドン引きよ。一人オケの時にしなさい。」「とっとと中断して次は私の番ね。あれ?インカ帝国…ってこれ、つぼイソングじゃないの!誰よ勝手に入れたの!中断中断!」「恐らく扶桑だな。こんな所で伊勢型への優位をというか只の嫌がらせは良くないな。」「姉さまじゃないわよ、日向言い掛かりはやめて!」「日向の言う通りよ、番号打ち間違えてごめんなさい。悪意は無いのよ。」「…分ったわ。それは兎も角、最近近所に展開してる艦隊に面白い駆逐艦が居るとか。何でも戦艦になりたいんだって。」「伊勢それは自分も聞いた事がある。大和型や長門型等の如何にも戦艦らしい戦艦を好むそうだ。艦名は確か清霜とか?」「それだと航戦の今の私や山城、伊勢型は邪道言われるかも…」「そんな事扶桑姉さまに言ったら私が許さない…って新曲更新?替え歌みたい。元の曲分るから歌ってみる。」・・・・・Justice of battleship~甲型駆逐艦夕雲型第十九番艦清霜のテーマ~(Justice of darknessのふしで)駆逐の主砲は 小さくか細い防御の弱さは わざと見やしない空母がポコポコ 造られてるのに水雷突撃 ノンキすぎないか?航空主兵で白けた戦に提督どもが資源を溶かす闘う予兆感じたとたんに昂(たかぶ)る勇気 どの艦娘にも負けないゾ鉄(くろがね)の 城は 伊勢・陸奥・比叡敵艦を 殴り踏みつぶせ艦隊の 勝利を掴むため配備された 私が甲型清霜だ!「はやく戦艦になりたい!」敵艦を 撃つは 伊勢・陸奥・比叡めくるめく 海戦の果てにひたむきに 想いを貫けばいつかきっと戦艦になれる 私が甲型清霜だ!・・・・・「…」「…」「…」「…」「…伊勢、お前だけ戦艦扱いとは。航戦仲間だと思ってたのは所詮私だけだったのか。」「ちょ、ちょっと日向何をいきなり?(そもそもなによこの歌?しかもみんなの視線が痛い…)」「どうせ私は所詮砲術練習艦…替え歌の歌詞にすら出てこないって不幸だわ。(ブツブツ)」「山城僻んでは駄目よ、単に歌詞の語呂で合わせただけの事よ。(私も火力は長門並なのに…清霜ちゃんとやらに教育が必要ね)」「ハックション!…風邪ひいたかなぁ?」 +後書き 114 :名無しの紳士提督:2014/11/09(日) 23 00 44 ID HdQq1cVA 終わりです エロ無しのネタだけですいません 元ネタはネット徘徊してたら見かけた「はやく戦艦になりたい」のキャプション付き清霜画像です しかも妖怪人間ベムでもリメイクの方にしてしまった… 今回もありがとうございました これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
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軽く唇が触れ合う。笑みがこぼれそうになる。というか、くすぐったい。 だけど、それは小さな胸がぽかぽかあったかくなるようなこそばゆさ。 なんで、ウチを選んでくれたんか聞きたい。やけど聞けへん。 もし、言葉を発してもうたらふわふわと感じとる浮遊感に似た幸せが霧散してしまいそうに思えるんや。 やから、くすぐったいの我慢して、何度も何度も接吻を繰り返す。 提督の手がウチの胸に触れて、気づいてもうた。改二? ちゃう。 夜伽が出来る容姿まで急成長? できるかい、そんなん。 急に胸が重くなる。せや、ウチに付いとるもんやないからなこれ。なんで今まで気づかんのや。 提督と一緒で、愛宕みたいな姿んなれて。このままやったら幸せかもな。提督がのんびり出来るゆうんは戦いも終わっとるんやろな。 うわ、よう考えたら、生きるん辛くなってきそうや。 せやけど目の前のそれはただの夢や。覚めてまうんや。 けどな、逆に考えてみ? もう、何も怖くないやろ。だって、夢やもん。一人ぼっちやあらへん。何やって出来る。 だから、望みのまま、提督の耳元で呟いた。ウチの願いを。 「なぁ……スケベしようや……」
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提督×鳥海1-847避「はかりしれるもの、はかりしれないもの」 内の鳥海妊娠発覚前のお話。 579 :もの、もの:2015/01/01(木) 01 14 52 ID vw3jzdiY 578 新年最初の投下は先を越されてしまいましたか 正月というと去年の正月は人によっては相当な修羅場だったでしょね では私も非エロですがお年玉を投下いたしましょう 『はかりしれるもの、はかりしれないもの』で 鳥海が提督と恋人同士になってから妊娠判明までの空白の三ヶ月間の間の話です 俺と鳥海が恋人同士になって二ヶ月が過ぎようとしていた。 そんな中、鎮守府で少し小さな騒動があった。 「あっ、司令官さん。お疲れ様です」 眼鏡をかけた秘書艦が俺をねぎらう。 「ああ、すまないな……」 「…何か御用がお有りですか?」 「いや……」 俺は平静を装って対応していた。 「あ、忘れるところでした。司令官さん、お手紙が届きました」 「ありがとう、如月……」 言葉遣いは鳥海のものだったが、今秘書艦を勤めている艦娘は如月だった。 「まだ何か御用がお有りですか?」 「……なんで如月は鳥海の真似をしているんだ?しかも眼鏡までかけて……」 「司令官さんが鳥海さんと付き合っているのは 司令官さんが眼鏡をかけた女性に惹かれているからなのでしょう?」 「否定はしない。けどどうして鳥海の口調を真似しているのだ?」 「こちらの口調の方が、司令官さんのハートを鷲掴みにできるから…でしょうか」 この子も鳥海と同じ事を考えているのだろうか。 そうであろうとなかろうと俺の気持ちは鳥海に向いている以上如月に靡くことはないだろう。 俺は半端な気持ちで二兎を追って一兎も得られない経験など二度としたくなかった。 「そうか、でもすまない、俺には心に決めた人がいるから。ごめんな」 そう言って俺は再び仕事に取り掛かろうとするが… 「私の計算では…こんな事あり得ない…」 またも鳥海の言葉を借りる如月。鳥海とは違い語気にやや落ち着きが感じられる。 しかしこうして聞いてると鳥海はいつも落ち着いた丁寧な感じで喋っていたわけじゃないんだなあと今更ながら気付いた。 「……やっぱり胸が大きいからかしら……」 如月はそう呟いたと思ったら制服を少しずらし、ピンクのブラに包まれた胸をチラリと見せてきた。 「見てみて、この胸、Bカップあるのよ」 今度は如月がいつも言ってる言葉を少し変えた言葉だった。なりふりかまわないのか? 「でも司令官は私をあまり見ようとはしない。鳥海さんの大きさと比べたら私なんてまな板同然よね……」 「そういう事で好き嫌いを言っているわけじゃない!俺は鳥海が好きだから好きなんだ!」 「それって昔好きだった人に似ているからとか…ですか?」 「ッ……それもそうだけど、それも合わせた上で俺は鳥海が好きなんだ!!」 「……ふーん…そうですか………!?」 如月が少し悲しそうな雰囲気で言ったと思ったら急に何かに気付いて驚いていた。 如月が驚いた先をみると鳥海がいたのだ。 「あ、鳥海さん、お疲れ様です。私は食事に行ってきますわね」 そう言って如月は逃げるように去って行った。 「司令官さん…」 「鳥海…俺は別にやましい事はしていないからな」 俺は慌てず正直に事情を説明した。 「そう…あの子が……」 「別に俺はあの子と何もなかったよ」 「わかってます。司令官さんは二股かける勇気がある人なんかじゃありませんからね」 「う……」 痛い所を付かれた。 「でもだからこそ手に入れたものを大切にしようとするんですね」 俺が思おうとした事を先回りして言う鳥海。 「君は大切にしすぎて忘れてしまわないようにしないとな。 ところで午後からの遠征なのだが君は如月と組む予定を立てた。 くれぐれもあの子を責めたりするような真似はするなよ」 「わかりました」 念を押しておいたから何かをするなんて事はないだろう。 もとより艦娘は個人的な感情で任務が失敗するような真似をする子はいない。 俺は念のために如月と食堂で鉢合わせしないために司令室で鳥海と共に昼食を取った。 三日後、遠征に出していた鳥海と如月達が帰ってきた。 「作戦完了したわ。レポート…見ます?」 この言葉は如月がいつも言う言葉のはずなのだが今回は違っていた。 言葉の主は鳥海だったからだ。如月も少し驚いていた。 「あ、ありがとう…」 俺も少し驚きながらレポートを受け取った。 「それよりも鳥海、君は少し疲れていないか?」 「そうね、少し疲れ気味かしら、ちょっとベッドに入ってくるね。一緒に来る?」 「あ、いや、俺達まだそんな…」 「な~んちゃって」 そう言うと鳥海は走り去っていった。 「……司令官と鳥海さんって付き合って二ヶ月なのにまだだったの?」 「そうだが…」 「契りを交わしたから私に目もくれないと思ったんだけど違ったのね……」 いや、大体合ってます。最後まで致していないだけで。 それからも鳥海は如月の言葉遣いを真似していた。 「司令官にお手紙みたい。な・ぁ・に?」 如月の子供っぽい声とは違う大人の艶がある声。 「あぁん、私が一番なの?まぁ、当然といえば当然ね。いいのいいの、あまり褒めないで」 艶かしさすら感じる声。 「鳥海、今日の仕事は早く終わったからもう帰ってもいいぞ。後は俺がやるから」 「うぅん、ぎりぎりまで一緒に居たいのにぃ…」 「わかった…すまないけど手伝ってくれ…」 いつもの控え目な態度からは想像しにくいわがまま。 「見て見て、この輝く肌…あはっ、もっと近くで見てよ」 横に立つ鳥海。俺は椅子に座っているから目線の辺りにおへそが来るが、 それよりもローライズなスカートをはいている為に鼠蹊部も見えていた。 そんな格好をしながらいつもの態度からは想像することができないくらい色っぽい声を出されれば我慢なんて出来なかった。 バンッ!! 如月がテーブルを叩いた。左手の手の平は『もうやめて』といわんばかりにこちらに向いていた。 顔を見ると赤くなっていて、目も涙目だった。 そして我慢できなくなっていた如月は逃げるように走っていった。 「……少し可哀相だったかもしれませんね。でもこれであの子も気付いてくれるといいんですけど……」 「君もあの子を心配していたのか。確かにあの子は意味深な言動が多かったからな。 そのせいで本質が隠されてしまい、偏見で見られたりすることもあったからな」 「そうね。あの子なりに考えてのことだったのでしょうけど、 そのせいで謂れのない批難もあの子の知らないところで言われ続けてましたし……」 「これで治らなかったら本人に直接言うしかないな。恐らく俺の言葉なら聞いてくれるはずだ……」 「……ところで話は変わりますけど、如月ちゃんみたいな私はどうでしたか?」 「えっ!?いや、その……」 返答に困る。まさか凄くエロかったなんて言えない。 「ドキドキしたよ」 こうやって当たり障りのない返答がやっとだった。 「じゃあ私みたいな如月ちゃんは?」 「何と言うか…多分あれが本来の如月かもしれないと思う。 いつもああだったらむやみに敵は作らないのにな… 敬遠する奴も少なくなるだろうしさ」 「見とれていたら、ヤっちゃうわよ」 「だからもうやめろって……俺と二人きりの時はいいけどさ」 こうして、とある鎮守府のとっても小さな騒動は幕を下ろした。 あれ以来如月は俺と二人きりか、もしくは鳥海と一緒の時以外は意味深な発言をしなくなった。 如月が意味深な発言をしなくなるのは、それから一ヶ月後の話である。 ―終― +後書き 584 :もの、もの:2015/01/01(木) 01 32 47 ID vw3jzdiY 以上です 提督と艦娘がまだ恋人同士になってまだ日が浅いということで まだ役職名や艦娘名で呼び合っているということと考えて 呼ぶときの文を書くのがかなり楽でした 如月は普通にしていたら変な叩かれはなかったでしょうけど 埋もれてしまって今の人気もなかったかもしれませんね 鳥海は格好の割にマトモな子ですけどこれで如月みたいな台詞回しだったらどうなっていたんでしょうかね それでは近いうちにまた何か投下しますね これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
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前回の話 「入渠しろ」 何を考えているのか。 どのような采配を取るつもりでいるのか。 気に食わない。 持っている紙の束ばかりに意識を奪われながらそう命令する提督に、 私は艦体を動かすのも多大な労力を持って詰め寄った。 「進軍すれば勝てたのよ! 仮に私が沈んでもっ、設計図がある以上もう一度建造できる!」 「…………」 「こんな指揮ばかりやっていては、燃料弾薬が!! ぐっ……、資材には、限りがあるんですよ!」 悲鳴を上げる艦体を抑え、一方で昂る激情は抑えずにできる限りの最大出力で声を張り上げる。 しかし提督の装甲は紙ではないのか怯んでいなくて、それがまた気に食わない。 紙の束から私へ視線を移した提督は、口だけを動かした。 「馬鹿だな」 「は?」 私は呆然とした。 開口一番で返ってきたのは買い言葉ではなかった。 顔を合わせた当初からずっと維持している冷静沈着な姿勢だが、 包み隠そうともしない悪態を聞いたのはこれが初めてだったと思う。 「またここまで育てなければならん手間を考えろ。その方が非効率的だ。 それに、大井が大打撃を受けた状態では進軍しても敵主力殲滅は不可能だ」 私は少し頭が冷えた。 提督の言う通り、私が沈んでから再度建造したところで一から訓練を重ねる必要がある。 だからそれはいい。 だが後者には異論を唱えたい。 戦艦や空母といった大型艦に対してその理屈を当てはめることは納得できるが、 私はどちらでもない軽巡から派生した重雷装艦なのだ。 形式的に持った小さな主砲の火力が大きいわけがなく、 唯一の武器である四問五基の計二十問の魚雷も当たればいいものの命中率は見るに堪えない。 「そんな事も分からんとは、練習艦の経歴十年なんてのはビッグマウスだったのかね」 嘆息しながらそう呟いて紙の束にまた視線を落とす。 言い争いをしようとか貶そうという目論見も見えず私に失望するだけの提督の態度で、私はまた頭に血が昇るのを感じた。 ――練習艦時代は軽巡であって雷巡じゃないのよ!―― 私の煮えた頭は、そんな反論くらいしか言語化できない。 しかし口に出すことはしなかった。 中途半端にそう的外れな反論だけをしては更に道化になるだけだからだ。 話にならない。 そう思う事にしておいて私は踵を返した。 「入渠はしろよ」 ――うるさい!―― …………………… ………… …… 「大井っちも入渠?」 いた。 北上さんは私が出撃する前に艦隊に召集され中破したので、壁際の湯船に浸かっている。 上部に掲げられた近代的な時計はもうあまり長い時間を示していなかった。 あの男との雲を掴むような対話を切り上げてきて正解だった。 入渠時間があまり長くないことを知っているから私は足早にここに来たのであって、一番の目的は入渠ではない。 ないったらないのよ。 北上さんの姿だけを確認した私は早速不満を打ち明ける。 「聞いてよ北上さん!! あの男ときたら!!」 「ひ、響く……」 しまった。北上さんが耳を抑えている。 音が反響するドックである事も忘れて声を荒げればそうなるのも当然だ。 私は北上さんが顔を歪ませたのを見て頭の血が引いた。 「ごっ、ごめんなさい!! お耳壊れちゃった!? 私が直す!?」 「あーもうなんともないから!」 北上さんに両手で拒絶されて我に帰ったとき、私はお湯の海域に進入して北上さんに詰め寄っていたのだった。 大破しているはずなのに俊敏に動くことに私自身驚いた。 北上さんの指摘で理性を幾分か取り戻したので、ひとまず忘れていた湯かけに取り掛かる。 凝り固まった艦体が、四肢が、適温のお湯で解されてゆくのが分かる。 石鹸を泡立てたタオルで、こびり付いた煤を落としていく。 「で、なんだっけ?」 「そう! 提督ときたら、敵の主力手前の海域で帰投命令なんか出してきたのよ!」 「あー……」 湯に浸かっていっそう気だるげになった声がドックに響いたので、 即座に首を反転させて事のあらましを告げると北上さんは思い当たる点があるように嘆息した。 ドックの換気能力を超える濃霧の中でも呆れているような顔が視認できる。 北上さんのことならこれくらい分かって当然よ。 「私たちを人間と勘違いしてるんじゃないのかしらね!」 艦娘は兵器であって人間ではない。 それは艦娘の共通認識であり常識である。私はそう思っている。 人間みたいに扱って敵を海で遊ばせておくなんてのは言語道断だ。 "前"のときにそんな軍人の存在を耳にしたことはない。耳という器官なんか持ってはいなかったけど。 だからあの男の存在は顔を合わせて間もない頃からとても不自然に見え、違和感を覚えたのだ。 やがてそれが大きくなった今では、軍にそぐわないので排除すべき存在としか見えない。 消極的な命令ばかりを出し、今日になってやっと少しは進軍を覚えたと思ったらこれだ。 そして渋々帰ってきてみれば反省のないあの態度。 腹立たしい。 あの男の存在を頭から振り払うように髪をがしがしと洗浄する。 「別にいいんじゃないの、好きにやらせておけば」 「もう! またそんなこと言う……」 北上さんらしい適当な感想だ。 それでも私は釈然としないのだ。 がむしゃらに敵を沈めてなんぼではなかったのか。 そそくさと煤を落とし、次にもやもやした気持ちを流すために私は湯船に浸かった。 無論北上さんの隣だ。 煙った天井を眺めて煮え滾った艦橋を整備する事に努める。 一つ溜息を漏らすと、それとも、と隣から声がかかる。 「大井っちは提督がクビにならないか心配なのかな?」 「やめてよ。冗談じゃない」 笑い話にもならない。 私があの男の行く末を心配する妄想なんて、身の毛がよだつ。 私と北上さんが気に入らない、 今のように怯えてまともな指揮ができない人間でなければ、提督なんて誰だっていいのだ。 軍艦とは敵の船を沈めるために生み出されたのだ。近海で遊ばせていては艦底が錆びる。 それを分かろうとしないあの役立たずは無用だ。 岸壁で呑気に黄昏ていようものなら後ろから突き落とすのもいいのだけど、 その怯えっぷりからかそのような隙を見せない。 「ま、提督がどうなろうと、こっちは関係ないからさ」 要するに、北上さんはただ無頓着なだけなのだ。 北上さんのその心の持ちようが羨ましいが、北上さんは北上さんで、私は私。 私の個性の短所に悶々とするうち、修復を終えた北上さんはドックを出て行った。 北上さんは私より先に建造されたらしい。 私が建造されて艦隊の一角に三つ編みを垂らしたその姿を確認したときは喜んだものだが、 それよりも提督の在り方の方が気に入らなかった。 既にその艦隊の旗艦に戦艦がいたのだが、聞けば鎮守府近海を彷徨いているだけだというのだ。 その次の海域への進軍を果たしたのも記憶に新しく、思えばそれは私たちが軽巡でなくなったばかりのはずだ。 "南西海域を制圧せよ"とかいう任務に駆り出されたのも最近で、 演習で相手になる別鎮守府の艦隊から聞く近況と比べれば遅い。 しかしあの男は口で言ったところで聞く気がないようなので、不満を心の中で燃焼させる。 それでもその燃焼は不完全で、この修復ドックに立ち込める白い湯気とは違い煤塗れだ。 「はあ、不幸だわ……」 温かなお湯に身を委ねて提督への不満を紛らわせていると、ドックの引き戸が開けられた。 いつもの口癖を呟きながら入ってきたのは艦隊旗艦の山城さんだった。 濃霧の中でも科白だけで誰か分かってしまうのはこの鎮守府に馴染んできた証拠なのかもしれないが、 その頂点にいるのがあの男では素直に喜べない。 山城さんはドックに足を踏み入れたところで私の存在に気づいたようで、互いに会釈した。 提督の指定か、山城さんは私の隣の湯船に浸かる。 "前"のときも、そして今も、扶桑型とは特に縁はない。 ないが、今この山城さんは主力艦隊の旗艦なのだ。 だから私は声をかけた。 「あの提督、また撤退命令を出したんですか?」 山城さんは私の質問に肯定した。 今度は旗艦が中破したから進軍はやめろと言ったらしい。 タフな装甲の戦艦が大きな損害を被るほどの海域でもないから、あの男の指揮が間違っていたのだろう。 それにだ。 この旗艦の考え方は分からないけど、"もう"中破ではなく"まだ"中破なのだ。 それに、戦艦の中破ならまだそれなりの攻撃はできる。 敵艦隊が徘徊している地点も多くはないから進めばいいのに。 「あの男、少し腰抜けが過ぎませんか?」 「え? ……ああ、確かに、提督は駆逐艦一隻犠牲にしようとしたことはないわね」 「ですよね。やっぱり私達を人間と勘違いしてるんじゃないかしらね……」 「秘書なんかやったって、あの提督の考えていることは分からないわよ」 やろうとも思わない。 作戦指揮に口を挟めるかもしれないけど、それ以上に精神不衛生だ。 山城さんに向ける義理は特にないが、それでもあの男の秘書として拘束されたことは少しだけ同情する。 それにしても、補佐をしても考えていることが分からないとはますます食えない男のよう。 これ以上秘書艦に訪ねても湧いた好奇心――ほんの少しだ――を満たすことはできないようなので、 会話を終わらせ黙って湯船に背を預ける。 直後どこからか機械音が響いた。 上を見れば、天井の梯子染みたレールに沿って吊るされた緑色のバケツが運ばれてくる。 それが逆さにされると、私の隣の湯船に中身が投入される。 艦隊旗艦である以上仕方がないとはいえ、入渠する暇さえ与えられないなんて殊更同情するわ。 即座に修復を終えドックを出ていく山城さんを私はそれを横目で追い、耳に意識を集中させる。 やがて向こうの脱衣所さえも物音がしなくなったことを確認してから、私はこっそりドックを抜け出した。 聞いた話によるとこの執務室の壁には防音加工が施されているらしいが、 扉は少々凝った作りになっているだけのただの木製だ。 多くある他の扉とは木の材質も違うようだけど、結局は音を遮断する能力はない。 用心しているのかそうでないのだか。 私は扉に耳を当て、内部を盗聴する。 まだ出撃はしていなかったようで、内部からは提督と山城さんの声が伺える。 脱衣所で装甲を纏う時間を圧縮してきたことが功を成した。 淡々と遂行中の任務消化について提督が山城さんに一方的に伝えている。 その最中"遂行の仕方がおかしいでしょう"などと異論を唱えたい衝動に何度も駆られるが飛び込むわけにもいかない。 なんとか黙って聞いているうち一通り云いたいことが済んだようで沈黙が訪れたが、直後。 『ある艦が"提督は艦娘を人間と勘違いしてるんじゃないか"と言っているのを聞きました』 『……それで?』 『"替えは利くんだからもっと進軍しろ"ということだと思いますけど……。 提督は少し撤退命令が多いんじゃないですか?』 思わぬ展開だが、いい機会だ。 指揮官の根幹を確かめるべく、私は提督の回答を待つ。 やや長い沈黙が流れ、やがて扉越しに声が伝わる。 『人間でなく機械ならぞんざいに扱うべきなのか』 『…………』 『仮に私が先の戦争の時代にいたとしても、犠牲を出さない事に尽力するだろうね』 『いずれにせよ私は私のやり方で行く。考えを改める気はない』 その声はしっかりとした芯があるように聞こえた。 それを聞いて何故か私は悪いことをしているような気分に陥ったので、扉から耳を離してその場をあとにした。 ――ドック、戻らなきゃ―― …………………… ………… …… 時は流れる。 あれからも結局のところ私は海に呑み込まれることなく、二度目の大規模改装を迎えてしまった。 提督の階級や戦果は緩やかにしか上がっておらず、この鎮守府に上から表彰状が贈られたこともない。 工廠を出てみれば装甲と艤装が一変した私と違って質素なままの制服を纏う提督が待ち受けていたので、 私は早速口を開く。 「私が建造されてから随分経つのに、練度向上は牛歩のようですね」 「……ん?」 「提督は腰抜けが過ぎるんですよ」 あら提督。何故首を傾げているんですか? とは聞かなかった。 自分も内心では首を傾いでいるから。 提督と顔を合わせても不思議と精神に乱れの波がない。 それに私、提督に対してここまで本音を包み隠さず言えたかしら……。 「……改装不備でもあったか口が悪くなったな? もう一度工廠に行った方がいいんじゃないか?」 「今までの提督のど素人な指揮に苛々してきた結果です。 こんなことを艦に言わせる提督の方こそ改装してもらったほうがいいんですよ。 二回の改装で直ります? 直りませんよね」 しかし私の方は直った。 実のところタービンの設計が特殊なため扱い辛く不調を多発させたから、私は練習艦にされたのだ。 だがそれも過去に捨てた。 "前"からの、そして再び建造されてからの、扱い辛かったあのタービンはもうない。 これで私は北上さんの足を引っ張ることもないし、心置き無く提督に横槍を入れられる。 一方の提督はと言えば、そんな私の横槍を避けることなく珍しいことに真っ向から受けた。 私がこのとき初めて見た提督の笑みは、挑戦的な含み笑いだった。 「……面白い。早速だが、大井は暫くの間秘書に任命しよう」 「へえ……」 「覚悟してくださいね。私が秘書になったからには撤退三昧のクソみたいな指揮、もうさせませんよ。提督?」 ――この魚雷火力、うまく使ってほしいな―― これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
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前回の話 「あ、ありがとう……。でも、私の心は常に扶桑姉様と共にあるの、ごめんなさい……」 好意を向けられる事に慣れていない私でも分かった。 向けられた好意を拒絶する事のどんなに心苦しいことか。 ああ、そんな顔をしないで。目を逸らしたくなる。 しかしそれは許されない。 「そうか……」 提督は、私へと差し出したそれを引きずるように引き戻し、手持ち無沙汰にポケットへしまった。 沈黙が辛い。 こんなときは、何を言ってあげればいいの? 不幸者にそんな物を贈る提督は好き者ですね、とでも言って茶化す? 提督なら他にそれを貰ってくれる娘がいる、とでも言って慰める? あり得ない。 そんな軽薄な言葉を放つ勇気なんかない。 告白するときの真剣な様子からあまり変わっていない、と思いきや、 しっかりと私の言葉を受け止めて落とす瞼、気迫のなくした声を搾り出す提督を、 元気付けてあげる術など私には見つけられなかった。 「今言った事は忘れてくれ。小破した分を修復したら寝るといい。明日も頼むぞ」 提督はポケットにそれをしまいこむと、至って普段の様子を取り繕った。 想いを棒に振ったのに、"明日も頼むぞ"だなんて。 いや、秘書の板にはすっかり着いたから使ってもらえることに嫌悪感はないのだけど。 少し、ほんの少し、抵抗を感じてしまわずにはいられない。 ……おやすみ。 「え? は、はいっ、おや……」 ばたん。 提督は、私の言葉を待たずに奥の扉を閉めてしまった。 自身が言いたかっただけか。 やけに遠く感じるその扉へ駆け寄る勇気もなく、私は執務室を後にして修復ドックへ向かうことにした。 …………………… ………… …… 一日の疲れをドックにて完全に流す工程を踏んだはずなのに、不思議と流せた気がしない。 もやもやした憑き物がこびりついた硝煙のように落ちない。 姉は被弾しなかったので入渠もとい入浴を早々と終え、もう寝床についているはずだ。 一日は、最後に姉と些細な談話をもって閉めるというのに、私の足は寝室を向かっていない。 なんだろう。この焦燥感は。 日々の不幸で磨かれた第六感が私に警鐘を鳴らしているのだ。 提督が心配でならない。 そうして長い廊下を歩いているうち、鈍足性能も振り切るように早歩きになっていた。 執務室へたどり着き、執務室の扉を開ける。そのまた奥の私室の扉を、こっそり開ける。 どうか普段通り眠っていますように、と祈りながら……。 「……!」 いない。 執務室の神棚には、神様は宿っていなかったらしい。 寝具の布団は膨らんでいないし、服や靴なども見当たらない。 いないと分かった以上、遠慮なく速度をつけて扉を放るように閉め、その場を後にする。 廊下の床を叩く下駄の音が周りに迷惑をかけやしないか気になるが、 今はそんなことにも構っていられなかった。 私の焦燥感は増すばかりで、警鐘と化した自身の鼓動のほうが五月蝿い。 ドックとは別の浴場を確認。いない。 男子便所を確認。いない。 こうなると、私の艦橋が弾き出した推測は一つだけになった。 悠長にしていられない。 慣れとはいえ高い下駄で階段を幾つも駆け下りるのは容易ではなかった。 焦りによって足が思うように動かないのもあるだろう。 「はあ……、はあ……、……!」 岸壁の隅に置かれたベンチを照らす電灯。 確かにそこに見慣れた人影はあった。 しかし様子がおかしい。 あの人は、提督は、何をしようとしている? ベンチの横に立ち、紫煙を燻らせ、 何やら右手を見つめてから持っているらしい何かを海に向かって振りかぶろうとし、 一旦中断しては首を振り払ってまたそれを一際大きく振りかぶったのだ。 索敵機が戻ってこない事よりも大きく膨らんだ焦燥感だけが、息切れを起こした私のタービンを稼働させた。 「やめて!!」 撃ち方やめの合図よりもその声は大きかった。 その甲斐あって、提督は動きを止めてくれた。 振り向き、提督の右手の物がはっきりと確認できた。 あれは、私の心に嫌というほど刻み込まれた見覚えある小さな箱だ。 私は肩で息をしながら提督を問い質す。 「何を、しようと、はぁ、してたんですか」 「お前には関係ない」 関係ない? 笑わせてくれる。 むしろ私が大いに関係ある物じゃない。 そこは自負しておきたい。 提督が私だけに贈ろうとしてくれた物なのだから。 私はその確信を持って提督に強気で挑む。 「それ、指輪ですよね?」 「…………」 提督。 いつもは口酸っぱく"相手の目を見なさい"なんて言い回すのに、人のこと言えないんじゃない? 不気味な黒い海なんか見て楽しいの? 「何を、しようとしてたんですか」 「お前が見た通りだよ。これはお前がいらないなら無用の長物なんだ」 提督はやっと白状してくれた。 私を強く想ってくれた本音を混じえて。 嫌味ったらしく、憎たらしい感情が入っているようにも聞こえるけど、それは私が悪い。 でも、私は、それを貰う決心を出来ていない。 今後貰う予定も考えていない。 無我夢中で提督を止めることだけを考えていたので、今の私は図々しく先延ばしにしてもらうことしかできなかった。 怖くて提督の顔も見られず、祈るように目を強く閉じて懇願するしかない私を許してください。 「お願いします。それは捨てないで、とっておいてください……」 「何故だ」 「言えません。とにかく、お願いします……!」 提督の言葉が、疑心が、潮風よりも冷たく心に刺さる日めくりだった。 …………………… ………… …… あんなことがあってから数日ものあいだ、私は息苦しさを感じていた。 あれからというもの、提督は私への態度を変えた。 時折覗かせてくれた柔らかい態度が全て偽りだったように、着任初期の素っ気ない態度に一貫してしまっていた。 執務中に書類の山に手を伸ばそうとして提督のそれと触れ合ってしまっても、提督は態度を変えない。 厨房での演習も、執務中の一緒の休憩も。 そして、深夜の合言葉さえも。 何もなくなった。 私達の関係は壊れてしまったのだろうか。 距離を置かれているような執務が、苦しい。 「やっぱり、提督と何かあった?」 目の前の布団で正座で向き合う姉が、優しく、しかし不安気に問う。 同じく自身の布団に正座する私が、誤魔化す術はない。 ここに及んで誤魔化すのは、畜生のやることだ。 そこまで私は堕ちていないと信じたい。 「実は……」 私は、ことのあらましを姉に語った。 姉は静かに聞いてくれて、最後に短く、そう、とだけ漏らす。 「山城が三日間帰ってこなかったときの提督の様子、知ってる?」 無論知らない。 誰からも、提督からも聞かされていない。 私が知っているのは、帰投したときに見せた提督の号泣した姿だけだ。 私は首を横に振る。 「提督はね、食事も睡眠も惜しんで山城を探し続けたわ。それだけならいい。 でも、どんどん酷くなっていって、最後には倒れるまで煙草を吸い続けたの。 倒れる直前に提督が私を見てなんて言ったと思う?」 「死神が、山城が迎えに来てくれたって」 私は戦慄した。 それでは最早依存ではないか。 私のことを死神など縁起でもないけど、あの無表情の奥底ではそんなことになっていたなんて。 最近は提督も私と一緒にいてそれなりに楽しんでいるように見えたけど、そこまで考え付かない。 「私、提督にそこまで想われるほど何かした覚えはないんだけど……」 「そこは、居心地がいいから、とかだと思うわ。人を想うって、そういうものだもの」 そんな明瞭でない結論なのだろうか。 いや、完全に否定するわけではないけど。 私も居心地が良くないと言えば嘘になるし……。 「提督がどういうときに煙草を吸うか、山城はもう分かっているでしょ?」 分かっている。 提督もそれを示唆することを言っていたけど、そこから私は完全に汲めていた。 「山城が出撃したときも、よく煙草を吸いに外へ出るのを見たわ。このときの提督の気持ちが分かる? 山城が心配で心配で仕方ないの」 提督は、決まって負の感情が取り巻く時に煙草に当たっていた。 海に向かってあの箱を投擲しようとしたときもまた然り。 「山城は提督にそこまで想われて、嫌な気持ちだった?」 私は、少し迷ってから首を横に振った。 嫌で提督を拒絶したんじゃない。 私はずっと前から心に刻んでいたことを厳守しようとしただけ。 「私の心は常に、姉様と共にある、って……」 「それは、提督と共にあったら離れてしまうもの?」 私の言葉を遮るように姉は問う。 噛み締めてみれば誰もが思い浮かびそうなごく普通の疑問だったけど、それを何故か私は考えたことがなかった。 提督と共にあったら、どうなるのだろう。 「山城は、幸せを見つけるために、提督の傍に身を置いたのよね? 山城が探す幸せは、何なのかしら」 それは。 超弩級戦艦としての威厳を取り戻すこと。 それには、強化が必要で、その強化には提督が必要で。 でも一日の中で姉よりも長い時間を提督と過ごしていくうち、情けないことに自身の目標を度々忘れてしまっていた。 姉以外にもう一つ見つけた、一緒にいて幸福感を感じる存在。 ぼうっとそれだけを噛み締めることが多くなっていった。 私が、その幸福感を完全に自身のものにするには。 「山城の心が提督と共にあっても、私達はずっと一緒よ」 姉のその言葉で、私はやっと自身を動かすことができた。 数え切れないほど日常的に踏み締めた深夜の岸壁を、私は決心した思いで向かう。 …………………… ………… …… 「提督の想い、もう廃れましたか……?」 私の懸念していた問いを、提督は首を振ってくれた。 提督を振った挙句、足踏みまでさせる暴挙を働いたのだ。 本来なら罵倒されても仕方がない。 自身の不手際であるゆえ、不幸とも言っていられない。 でもこれだけで、私の不安は取り除かれた。 「では、もう一度、あの時の言葉を、下さい……」 安堵やら罪悪感やら感極まって、私は、一粒涙を流してしまう。 蚊の鳴くような言葉尻になってしまうも、提督は嫌味も言わず応じてくれる。 私の懇願通りポケットに常備してくれていたらしいそれが差し出される。 箱が開けられ、そのリングは強くない月明かりの下、煌びやかに存在感を放つ 数日ぶりながらもこれまで長かった感覚を思い起こさせた。 意図せずして細められてしまう私の目を提督は見つめ、これまでの息苦しさを断ち切ってくれた。 「月より綺麗な山城を、私のものにしたい」 「……っ!」 もう、だめ。 抑えられない。 提督の中へ飛び込んだ。 「提督ごめん、なさ、っ、今まで、ぐすっ、我儘ばっかり言って……。 ぐすっ、迷惑ばっかり、かけてっ……、ああああぁぁ……!!」 私を受け入れてもらえたこと。 提督を待たせてしまったこと。 思いが入り乱れ、腕の中でみっともなく泣き崩れる。 涙が止まらない。 提督はそんな私を静かに宥めてくれる。 身を引き寄せて。頭を撫でて。 「すまなかった。自分も、不器用だから……」 涙を止めてから、提督にリングを装着してもらう。 日頃不幸だと言っていながらも、このときばかりはそれが指に嵌らない、という事態にもならなかった。 存在感を放つそれが提督に見えるように、左手を私の胸に置く。 自身で装着するよりも、こうして装着してもらわなければ、ここまで胸は躍らなかっただろう。 私は頬にもう一度道筋を作ってしまう。 久しぶりに感情を顔に表してくれた提督は照れ臭そうにしながらも、私をしっかりと見つめて問う。 「どうだ。幸せは見つかったか」 「……くすっ」 言うまでもない。 提督と同じように、私も顔に感情を精一杯せり上げさせた。 私は、あの月より綺麗に笑えただろうか。 その答えは、提督だけが知っている。 これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
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18 :名無しさん@ピンキー:2014/02/26(水) 02 47 15.05 ID PbqnEQvx 前スレで瑞鳳陵辱書いたら反動で幸せにしてあげたくなった。 反省はしていないがあんまりエロくないので後悔はしている。 19 :18:2014/02/26(水) 02 49 05.45 ID PbqnEQvx 既に日は暮れていたが軍令部に呼び出された提督はまだ戻ってこない。 執務室には瑞鳳が一人残っていた。 (とりあえず、何か美味しいものでも出してあげて、お酒もあったほうが良いよね) 帰りが遅くなれば、恐らくへとへとになって戻ってくるであろう提督をどう労うか考えていた瑞鳳だったが、 何にしても散らかっている執務室の片づけなければくつろげるものもくつろげないという結論に至った。 「物がないのに散らかすとかある意味天才ね提督……」 とは言え天性の整頓下手なここの提督である。 少ない書類や備品が、数の不足を補うように最大限自分の存在を主張しているのを片付け始めてから数分後、 見慣れないノートを発見した瑞鳳は何の気なしにその中を覗 ○月×日 今日は建造を行う。 入手したレシピであれば高確率で長門を建造することが可能の筈だ。 既にいる陸奥と合わせて長門型が揃えば、大幅な戦力増大につながるだろう。 ○月△日 数日前と同じレシピで建造を行う。 前回は陸奥が増える結果となったが、同じ長門型が出てきたということは方向性としてはあっている筈だ。 今度こそ長門が建造できるだろう。 建造時間も5 00 00だ。 ×月□日 また長門の建造を行う。 二度あることは三度あるというが、三度目の正直ともいう。 今回ばかりは後者であることを祈らずにはいられない。 (何ページかちぎられている) 日付なし ど う せ み ん な 陸 奥 に な る 「どうしてこんなこと書いた!言え!」 思わず日記に突っ込む瑞鳳。 (提督、最近建造しなくなったと思ったら……) わざとではないとはいえ日記を盗み見てしまったという罪悪感を誤魔化すようにそのノートをブックスタンドに入れようとした時だった。 偶然、一冊だけカバーがかけられた本が置いてあるのが見えた。 「提督はブックカバー使わない派だと思ってたけど…」 なんとなく気になるが、同時に見てはいけない気がする。 (人のものを勝手に盗み見るのはいけないよね……でも気になる、なんか妙に気になる。 いやいや、親しき仲にも礼儀ありだし……でも、気になる) 暫しの葛藤の末、瑞鳳は机を離れて窓を開ける。 「さーせっかくだからまどをあけてかんきしよー(棒)」 無風だが気にしない。 「うーんおさまりきらないからいっさつだしたほうがいいかな。おおこのほんがちょうどよさそうだ(激棒)」 ブックスタンドにはまだ若干の余裕がある。 「わーかぜでぺーじがー(超弩級の棒)」 吹き荒れる無風によりページが広げられる。 そこにあったのは、グレープフルーツ大の豊満な胸。 「えっ…」 もう一ページめくると、グレープフルーツの間にモザイク処理された縦長の何か。 蠱惑的な視線を送るグレープフルーツの持ち主。 「なっ……へ、変態!破廉恥!最低!」 思わずそう叫んで本を閉じると、ブックスタンドに戻して窓を閉める。 (見なきゃよかった…) 深いため息を一つ。 (提督大きいのが好きなんだ……) 正直に白状すれば、本を見たときに感じていたのは、こんなものを置いていた提督への怒りや内容の破廉恥さに対する恥ずかしさより、豊満な胸への嫉妬や悔しさの方が大きかった。 自分が手に入れられないものを、自分の好きな相手が望んでいる。 そして、望みのものを持っている者はすぐ近くにいる。 高雄型や妙高型、多くの戦艦、正規空母等挙げればきりがないこれらに対して、自分のそれがなんと貧弱か。 (私もやらなきゃ……あれを手に入れなきゃ) 持たざる者が持てる者に対抗するには、持てる者になるより他にない。 瑞鳳は自分を奮い立たせるように立ち上がり、かつて龍驤に見せてもらった『72でもできる!簡単バストアップ体操』とやらをやってみることにした。 龍驤おすすめという説得力があるのかないのかわからない代物だが、少しの可能性に賭けるしかなかった。 大胸筋に負荷をかけたり、女性ホルモンに影響するらしいツボを刺激したりしてから最後に胸のマッサージを行う。 誰もいないとはいえ流石にここで脱ぐわけにもいかず、迷彩の胸当てだけ外して服の上からマッサージを行うが、徐々に瑞鳳に変化が見え始めた。 (なんか…変な気分ね) 切ないような感覚に襲われるが、手を止めることができない。 (んっ、くぅ……これが、マッサージの効果なの…かな…) いつの間にか息が荒くなり、頬が紅潮している。 「あっ…。んっ…」 規定回数は終わらせたはずだが、瑞鳳は一向に手を止めない。 それどころか、よりマッサージを行う動きがより大きく強くなってきている。 (ダメ……気持ちいい。気持ちよくって止まらないよぉ…) 思わずその場にへたり込み両手でしっかりと胸を掴みながら、その手の動きに合わせて嬌声が漏れる。 瑞鳳自身、これがもうマッサージではなく別の行為になっていることはわかっていたが、 わかっているのとそれをやめるのは別だ。 「ひゃ!んっ、あっ!」 (ダメ、こんな所でこんなことしちゃダメなのにっ…!) 頭ではそう理解していても体はいう事を聞かない。 そしてついに興奮が最高潮に達した。 「うっ、あっ……はぁ…」 それまでとは打って変わって脱力感が全身を包み、へたり込んだまま尻に根が張ったかのように動けなくなった。 (今度からは、部屋で寝る前にやろう) 天井のシミを見ながらそんなことを考えていた時 「ただいま、悪いな遅くなって」 「ふひゃあ!!!」 提督が帰ってきた。 「何やってんだ?」 自分の執務室に戻ったら瑞鳳が胸当てを外して自分の胸を持ったまま驚いて飛び上がっている。 この状況に対する当然の疑問が瑞鳳に投げかけられる。 しかし混乱している今の瑞鳳にとって「何をやっている」の“何”がどれをさしていて どう応答すれば怪しまれないかなどと考える余裕などある訳もない。 「え、いや、あの…これはその、違くてその……そういうのではなくて…ただのバストアップ…っ!!…いやあの…えーと……」 「バストアップ?」 「そ、そう!……いや違います。違わないですけど、違うというか…」 その時、提督の目が瑞鳳の後ろ、自分の机に行く。 「なっ!?」 思わず絶句する提督。 “あれ”がブックスタンドに鎮座しているということは普段の定位置である鍵のかかる引出しに入れ忘れていたということで、 この片付いた部屋から察するに瑞鳳が掃除をしてくれて、バストアップというのは― 「見たのか?」 この問いに瑞鳳は覚悟を決め、小さく頷く。 「提督は大きいのが好きだと思って…」 提督も覚悟を決める。 「その、申し訳ない。出来心というか、いや、気が弛んでいる証拠だな。申し訳ない」 頭を下げるしかない。 「その上お前を傷つけてしまったな……本当にすまない」 「いや、私が勝手に見て勝手にバストアップ体操しただけだから…私小さいし…」 消え入りそうな声でそう言う瑞鳳。 そこで気持ちよくなってましたとは流石に言えない。 「……一つだけ、弁解させてくれないか」 何も言わない瑞鳳。 「確かに俺は大きい方が好きだ」 俯いていた瑞鳳がビクンと震える。 「だが、お前が小さいのであれば今日から貧乳好きだ」 「えっ?」 ぱっと瑞鳳は顔を上げる。 反対に提督は伏し目がちになる。 「俺は乳の大小より、お前の方が好きだ」 言い切ると同時に二人とも顔が真っ赤になる。 「な、な、何言って」 「本気だよ俺は」 瑞鳳は何も言えなかった。 ただ提督の両腕に抱きしめられていた。 「「いただきます」」 それから数日後、二人は今まで通り提督とその秘書艦としての生活を送っていた ―表向きは。 「はい、提督」 「おお、ありがとう」 いつもの甘口の卵焼きではなく、塩味のきいた卵焼き。 これは瑞鳳からの合図。 「味付け変えたんだな」 「えへへ、たまにはね♪」 これが提督の合図。 これで夜の予定は決まった。 「「ごちそうさま」」 二人同時に食事を終え、時計を見ると丁度一三〇〇になるところだった。 「よし、今日は大鳳建造するぞ」 「大型建造?大丈夫なの?」 「ああ、巨人、大鵬、卵焼きというぐらいだからな。お前の卵焼きがあれば楽勝だ」 「大鳳の字が違うでしょ」 冗談を言ってはいるが、勿論実際には連日二人でレシピを研究してきているし、当然そのレシピを使用する。 「これが初の共同作業だな」 「……馬鹿」 まんざらでもなさそうに瑞鳳は笑った。 この後、この艦隊は五人目の陸奥を迎えることとなるが、それはまた別のお話。 +後書き 26 :18:2014/02/26(水) 03 07 46.65 ID PbqnEQvx 以上スレ汚し失礼しました。 鳳翔さん=正妻 ずほちゃん=新妻 もち異論は認める
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前の続き 夜二十二時三十分。 通信司令室には私の他に霧島、愛宕、由良そして暁がいた。艦娘たちの顔には苦渋が滲み出ていた。いつものほほんと笑っている愛宕も厳しい表情だ。『翔鶴が沈む』、その通信を最後に第一艦隊からの連絡は途絶えた。本日の通信司令室の夜番の四人が再度通信を試みようとしたが、一向に繋がらないままこの時間になってしまった。 私はテーブルの上に広げている南方海域の地図を凝視する。第一が予定通りにサブ島沖に向かえたと仮定して通信を受信した時間で位置を推測した。そのポイントに赤のマジックペンでグルグルと円を描いた。 「通信の記録を聞く限り、充分な応戦は出来ていない…恐らく撤退を試みているはずだ。損傷も酷いだろう… 天候の良し悪しもあるがスピードも落ちているはずだ」 「敵も追随している可能性もあります。またレーダーも無事機能できているかどうかも分かりません… 最悪照明灯も使えないかもしれません」 霧島の言葉で生々しくその様子を想像した。ギリッと、私は歯を鳴らした。偵察とはいえ、それなりの準備をさせて第一を編成した。まだ未熟な翔鶴はいたがその分もカバーできる程の力量を持ったメンバーを編成したつもりだった。それでも、それでも翔鶴は―――――― 私は頭を振った。 「………救助隊を編成する。メンバーは、」 バンッとけたたましい音がした。音に驚き体が一瞬飛び上がった。後ろを振り向くと通信司令室のドアが壁にぶつけるほど思いっきり開けられており、そこには険しい顔つきの瑞鶴がいた。 「翔鶴姉が…翔鶴姉は無事なの?!」 瑞鶴は一直線に私の元へと早足で来た。このまま胸倉を掴まれそうな勢いだったが瑞鶴は私に触れずにただ不安と怯えの色の瞳で見上げてきた。瑞鶴は寮外へ出ることを禁止していたが、状況が状況な為に私はそのことを咎める気が全く起きなかった。 「翔鶴は――――――」 翔鶴が沈む。不知火の最後の言葉。それを今ここで瑞鶴に伝えるべきかどうか逡巡した。しかし瑞鶴は私の迷いを責めるように私の腕を掴んだ。 「翔鶴姉は沈んでなんかないよね!?」 私は目を見開いた。緊急事態が発生した際には艦娘たちの寮で緊急サイレンを鳴らしいつでも出撃ができるよう準備を整えさせることを徹底させていたが、事件の内容までは伝えずその時の通信指令室のメンバーで作戦を決め必要な艦娘を呼び出して事件と作戦の概要を説明していた。作戦に必要ではない艦娘がその事を知るのは任務が終わった後である。今基地にいないのは第一艦隊と第三艦隊だ。緊急サイレンがなれば第一か第二、またはどちらも危険な状態だとは分かる。しかし作戦がまだ考案中である今、通信指令室にいなかった瑞鶴が翔鶴のことを知るはずがないのだ。私は後ろに並んでいる夜番を睨みつけた。 「誰だ、瑞鶴に連絡したのは」 通信指令室の番をするものは通信の内容がどうであれ許可なく私以外に連絡することを禁止にしていた。例え出撃中の姉妹艦相手でもだ。私の威圧に四人の表情がさらに強張った。まるで息さえ止まっているように。暁は反射的に由良の後ろに隠れた。まさか、暁が? 「暁、お前が瑞鶴に連絡したのか」 由良の体からはみ出ている腕がビクンっと跳ねた気がした。由良は少し動いて私から暁を隔絶するように後ろに隠した。今は黒いタイツの足しか見えていない。 「落ち着いてください提督さん」 「由良、暁を庇うのなら――――――」 「ちっ違う!違うよ提督さん!」 由良を咎めようとした私の腕を瑞鶴はグイッと引っ張った。 「違う…なんとなくすごく嫌な予感がして……そしたら緊急サイレンが鳴ったから……翔鶴姉に何かあったのかと思って気が気じゃなかったの。瑞鶴は誰からも連絡をもらってないよ!信じて…」 「……暁?」 視線を戻すと由良の後ろから少しだけ暁が顔を覗かせていた。 「い……言いつけは破らない……のです……暁は一人前のレディーだもん…」 嘘はついていないように思えた。私は溜息を吐き、頭一つ分小さい瑞鶴を見下ろした。顔は伏せられて見えなかった。 「……やっぱり……翔鶴姉に何かあったんだ……」 絶望の色を隠せない呟きだった。美しい灰色の髪が小さく揺れている。武器を一切纏わない瑞鶴の姿は怯える人間と大差ない。私はその姿を哀れに思うと同時に疎ましく感じた。遥か昔、私が生まれるよりもさらに遠い昔、戦争という地獄の中を生きてきたのは人間だけではない。その人間たちと共に激動の海で戦ってきたのは、物言わぬ艦船だった。しかし魂は宿っていた。その魂が現代に蘇り艦娘として存在するようになった。艦娘たちは昔の記憶を忘れていない。各々の艦船の始まりも終わりも覚えており、姉妹艦と初めて顔を合わせた時は再会を喜ぶ。姿形は以前と異なるにも関わらず、初めて姿を見ただけでそれが誰だか彼女たちには分かるのだ。彼女たちの間には家族愛に似たものがあり、確かな絆があった。家族を守りたいと思い、困ったことがあれば力になりたい。危険に晒されているなら救いたい、と。その感情や気持ちは尊く喜ばしい。しかしここは軍であり戦場だ。感情に任せて行動した結果がいつだって喜ばしい結果を生み出す訳がない。むしろ最悪の事態を引き起こす可能性がある。部下を戦場に送り出す上官として、冷静な判断をしなければならない。そして私には次に何が起こるかを予測していた。 「提督さん」 より一層強く腕が捕まれた。瑞鶴は顔をあげる。先程まで感じていた怯えは瞳の中に見えなかった。 「瑞鶴も翔鶴姉を捜す」 予想通りの言葉だ。 「……お前は今は遠征も出撃も禁止されている身だ。寮内待機も命じている。これ以上勝手なことをするのなら――――――」 「だったら解体したらいい!」 その叫びに私は言葉を続けられなかった。瑞鶴は私を真っ直ぐに見据える。恐怖を感じるほどに真っ直ぐに。 「何もできず、何もやれず、戦うことも手伝うことも強くなることもできずにただ腐れ果てるというなら、私がここにいる理由も必要もない。さっさと私を鉄の塊にすればいい」 「瑞鶴、私は」 瑞鶴の真摯で真剣な様に私は気圧されていた。恐らく不知火の通信で動揺していたのだろう。いくら万全な準備と装備を整えても生きるか死ぬかの戦場、何度も艦娘たちは危険な目に遭って来た。それでも今回のように安否が全く分からない状況に遭遇した経験がなかった。それに私は、誰かが死ぬことにまだ慣れていない。こうやって艦娘たちを指揮する立場になったのもの元から軍に勤めていたからではなかった。深海棲艦が出現し始めてからしばらくして、議会の友人が私の元へ訪ねてきたのだ。どうやって調査したのかが不明だが、私には艦娘を指示し彼女たちの力を充分に発揮できる力があったらしい。黙って世界が滅亡して死ぬのを待つくらいなら、自分の未来の為にも生きたい、そう思ってこの仕事を引き受けた。深海棲艦と戦う為に集まった提督の中には私のように軍事関係とは無縁の場所にいた者も少なくはなかったが、大半は軍関係者であったりどこかの国で傭兵として暮らしていたことのある者だったり、戦いに身を置いた者も多かった。そのタイプの提督たちとは違い、私は死から遠い場所で生きていたのだ。 「提督さん、瑞鶴は、」 提督となって月日が流れた。戦術の勉強もした。それなりの戦果と功績を残した。艦娘たちからの信頼を得た。それでも私は、誰かが死ぬことにまだ慣れていない。もし慣れていたら、翔鶴を傷つけることも、瑞鶴を閉じ込めることもしなかったのかもしれない。 「瑞鶴には幸運の女神がついている。第一艦隊全員を基地に連れ戻す。私もちゃんと帰って来る。私は、私が――――――」 もし慣れていたら、 「瑞鶴が誰も死なせない!誰も二人目にもさせないし、私もならない!」 もし慣れていたら、自分の部屋に新しい鍵をつけることはなかったはずだ。 夢を、見ることはなかった。 「提督!見て見て~」 執務机でノートパソコンを操作している私に秋雲は声をかけてきた。目をディスプレイから離して秋雲を見ると、秋雲の顔ではなく男の顔が視界に入った。 「どうどう?上手いっしょ?」 その男はスケッチブックに描かれた私であった。一目見るだけで誰が描かれたのか分かるほど、秋雲の絵は非常に写実的だった。私がノートパソコンと睨めっこをしている様子が描かれていて、その私の周りにはデフォルメで描かれた開発妖精が踊っていた。秋雲は対象を忠実に描くことも秀でているが、コミカルなタッチのイラストを描くことにも優れていた。艦娘という立場でなかったら、芸術家か漫画家になっていたに違いない。 「相変わらず上手いな…」 「何なら額縁に飾って食堂に置いとこっか?」 「それは止めてくれ」 私が苦笑すると秋雲はカラッとした顔で笑った。 「基地にいる艦娘はみーんな描き終わったよ。深海棲艦もあらかた描いたんじゃないかな~」 「ほぅ…先日来た伊58もか?」 「もっちのろんさぁ!ほらこれ!」 ページが捲られると海に浮かぶ伊58が描かれていた。私の絵とは違い、愛らしさを感じられる。艦娘とは一定の距離を保つようにしていた私だったが、秋雲の絵は純粋に好きであった。それに秋雲は私に懐いていたが、そこに恋愛感情の類は見えなかったので秋雲とは気楽に接することができた。 「ねぇ提督~」 秋雲が甘えた声を出した。秋雲が何を言いたいのか私には予測できた。 「私はあまり建造運に恵まれないようでね… 海域でも出会えたらいいんだが、…すまない」 私の謝罪に秋雲は首を横に振った。 「まっ しょうがないよね~いいよ、秋雲さん気長に待てるし」 「極力早く迎えられるよう努力する」 あ、と秋雲は拳をポンと手の平の上に叩いた。 「なら暇潰しにさ提督、秋雲の絵を描いてよー」 秋雲はそう言って私に赤色のスケッチブックを差し出した。私は片手で拒否を示した。 「私はお前と違って絵心はない。それに、お前が暇でも私には仕事があるんだ…… そもそも、その書類の処理は終わったのか?」 私はテーブルの上にある書類の束を指差した。秋雲はフフン、と鼻で笑う。 「これぐらい朝飯前ってやつさぁ~終わって暇だったから提督を描いてたんだから」 「…絵を描く前に私に次の指示を仰ぐこともできたはずだが?」 「まぁまぁ!じゃ、お仕事くーださい」 私は溜息を吐くと机から立ち上がった。 「装備を開発するか。工廠に行くぞ」 秋雲もソファーから立ち上がるとドアへと向かい、私の為にドアを開けた。 「建造はしないのー?」 「資源の残りが心許ないから暫くは控える」 「残念っ」 私が執務室を出ると秋雲はドアを閉めた。私の隣に秋雲が立つ。 「明後日はカスガダマ沖海へ出撃だ。そこで会えるといいのだが」 「ん?そこって確か前に行ったんじゃなかったっけ?」 「最近カスガダマで深海棲艦が多数目撃されているようなんだ。撃滅させろ、と上からの指示だ。それとお前も第一艦隊の編成メンバーだから準備は怠るな」 「おっ りょうかーい!」 秋雲はピシッと敬礼をした。 「秋雲さんが連れて帰っちゃうからね~翔鶴も、瑞鶴も!」 数日後、カスガダマ沖海の最深部で秋雲を含む第一艦隊は敵を撃滅させ、運が良いことに翔鶴と出会うことが出来た。そして帰投途中、まだ生き残っていた敵の潜水艦が大破状態で航行していた秋雲を、轟沈させた。 私の指揮の下、初めて死んだ艦娘だった。 「提督さん?」 私を呼ぶ声に意識が戻る。黙ったままの私を気遣うような、心配しているような、そんな目で瑞鶴が私を見ていた。 「提督さん…顔が青いけど…」 「あ、あぁ………いや、気にするな。大丈夫だ」 私は頭を振った。瑞鶴は少し戸惑っていたが、変わらず私を真っ直ぐ見ている。 「…提督さんお願い、瑞鶴を捜索隊に入れて。絶対帰ってくるから」 瑞鶴の意思は変わらないようだった。私は初めて迎える艦娘は歴史を必ず調べるようにしていた。被弾が極端になかった幸運艦、瑞鶴。もしかしたら瑞鶴なら―――――― 私は口を開けた。 「提督?もしかして瑞鶴ちゃんを捜索隊に入れるおつもりなのかしら?」 柔らかい声が私の耳に届く。振り返ると愛宕がニコニコ顔で私を見ていた。 そのつもりだ、と私が返事をしようとする前に愛宕が言葉を重ねた。 「提督、通信内容は覚えていらっしゃいます?」 「通信内容?翔鶴が沈むと…」 「それ以外の、です」 それ以外?確か…… 『第一艦隊、こちら不知火です。サブ島沖海域には予定の時刻に到着。夜も間もないはずですが、この海域だけ昼のように明るいです…周りをよく見渡せますが…… 敵の気配はまだありません。注意して進みます』 『こちら不知火です。サブ島沖海域航行中、突然空に暗雲がたちこみ夜になりました。僅か一分です。…異常だ…何かおかしい、撤退を―――――― バァンっ ?!何の音!?攻撃か!』 確か、不知火の通信内容はこうだったはずだ。 「急に暗くなってすぐの襲撃… タイミングが良すぎる、恐らく敵の罠でしょうね」 「それは私も同じ意見だ」 「サブ島沖の敵は天候を操れるかもしれません。そこに夜戦で全く何も出来ない空母を捜索隊に入れるんですか?」 愛宕の言葉に頭を殴られたような気がした。愛宕はニッコリと私に笑いかける。 「提督、貴方は優秀な指揮官よ。だから落ち着いて冷静になって」 「………」 私は視線を瑞鶴に戻した。瑞鶴は私を不安そうに見上げている。 「……瑞鶴、お前を捜索隊にいれることはできない」 瞳が傷ついたように揺れた。 「そん…な、わ、…私大丈夫だから!暗闇で襲撃されてもちゃんと避けるから!」 「戦闘経験の豊富な赤城や加賀も夜戦では当たる時は当たる。瑞鶴、お前は特に…戦闘も演習も経験が浅い」 「…!だって、それは…!」 悲嘆にくれた目が私を責める目つきに変わる。そう、瑞鶴が弱いままなのは私のせいだ。私のワガママを全部瑞鶴に押し付けたのだ。 「……部屋に戻れ瑞鶴。…結果がどうであれ、必ずお前に知らせる。今はこれで身を引いてくれ」 しばらくの間瑞鶴は私を睨んでいたが、ついに諦めて私から目を逸らした。そのまま無言で私に背中を向けて、通信司令室から出て行った。私は後ろを振り返った。 「……愛宕、すまない。少し気が動転していたようだ」 「いいのよ、気にしないでぇ」 愛宕の微笑みにつられて私も小さく笑った。張り詰めていた空気が少しだけ緩み、霧島と由良、暁の顔もどこか安堵していた。コホン、と霧島が咳払いをした。 「司令、捜索隊のメンバーはいかがいたしましょう」 私は顎に手をあててしばし考えた。 「そうだな…ヴェールヌイ、比叡、金剛、雪風、妙高を呼べ。そして愛宕、お前が旗艦だ」 「了解で~す」 愛宕は敬礼をした。 「それでは他のメンバーの呼び出しをしてきます」 霧島は軽く会釈をすると隣の連絡室へと入った。私は由良へと足を進めた。由良の後ろに隠れている暁の腕がビクリッと動く。 「……まだ謝ってなかったな、すまなかった暁」 暁はおずおずと由良の背中から顔を出した。 「お前は指示にちゃんと従うやつだ。それは分かっていたが…少し感情的になっていたんだ。許してくれないか?」 由良に促されて暁は前へと体を出し、私の前に立った。 「……暁は大丈夫だから、…一人前のレディーだし」 私は暁の頭を撫でた。いつもならこうすると子ども扱いするな、と怒って手を払いのけるが、今は反抗しなかった。 「ありがとう、暁」 私が礼を言うのと同時に連絡室から霧島が出てきた。 「司令、連絡終わりました。すぐにみんな来ます」 「あぁ、分かった」 スー、ハー、深呼吸をする。さて、気持ちを切り替えよう。 五分もしない内に捜索隊のメンバー全員が通信司令室に集まった。私は横一列に並ぶ彼女たちを見渡し、頷いた。 「第一艦隊の捜索及び救出作戦を開始する」 艦娘たちの寮は基本的に個室が宛がわれる。中には姉妹と一緒の部屋を希望する者もいるので、その姉妹の為に少し広い部屋も用意されている。瑞鶴と翔鶴はその広い部屋に住んでいた。 真夜中の四時、もうすぐで夜も明ける時間、瑞鶴はただ一人暗い部屋にいた。ずっと窓の外を見ていた。瑞鶴の視線の先にはライトを灯して明るい港があった。その光を瑞鶴はただ見ていた。日付が変わる前に第一艦隊の捜索隊は港を後にした。瑞鶴も一緒に捜索隊に入りたかったが、提督は許可しなかった。瑞鶴の戦闘経験が浅いせいでもあるが、一番の理由は瑞鶴が空母だからだ。空母は夜は戦えない。敵の空母は種類によっては夜でも艦載機を飛ばしてくることはあったが、今の艦娘にはその力はなかった。空母は昼にしか戦えない。瑞鶴は今日初めて、自分が空母であることを恥じた。 「翔鶴姉……」 眠気は全く訪れない。それどころかずっと震えが止まらない。人間と人間が戦争していた時代、瑞鶴は幸運艦と言われるほど被弾が少ない艦だった。逆に姉の翔鶴は被害担当艦と言われるほど敵の砲撃をその身に受けていた。だからこそ、今回の出撃でも―――――― 瑞鶴は頭を激しく振る。 「大丈夫、翔鶴姉は大丈夫…大丈夫だもん……」 ジリリリリッリリリリリリリリリ! けたたましい高音が部屋に鳴り響いた。瑞鶴はギョッと体を強張らせた。音の出所を見ると、電話から聞こえた。電話!瑞鶴はハッとして慌てて走り出した。覚束ない手つきで受話器を掴みあげる。 「も、もしもし?!」 「瑞鶴さん?由良です」 由良。通信司令室にいた艦娘だ。彼女から電話がかかってくるということは、 「翔鶴姉は!翔鶴姉は無事?!」 瑞鶴の声は震えていた。心臓がバクバクとうなり、胸が苦しかった。死んでしまいそうだった。 「翔鶴さんは生きています」 生きている。その言葉が瑞鶴の脳にダイレクトに刺さった。 「ほ…ほんと?!ほ、ほんとに…?!ぶ、無事…?!」 「無事…とは言いがたいです。ほぼ轟沈寸前の状態らしいですが…とにかく生きています。意識もあるようです。他のみなさんも生きています」 ジワリ、と熱いものが目に浮かんだ。涙だ。受話器が手から離れた。 「うっ……う、うぇ……しょ……っ」 受話器は本体と繋がっているコードでブランブランと揺れていた。翔鶴が生きている。帰って来る。それだけが今の瑞鶴には救いだった。その嬉しさと安堵がさらに涙をあふれさせる。 「………っ うぇっひっく」 ツーツー。受話器から小さな音が鳴っている。しかし瑞鶴は受話器を本体に戻す場合ではなかった。だから由良が先に通話を切った。 朝日が昇った数時間後、捜索隊と第一艦隊が帰投した。その時も瑞鶴はまだ、一人で泣いていたのだった。 第一艦隊救出後しばらく、私はプライベートルームには帰らなかった。第一艦隊の報告からサブ島沖の調査をしたり、入渠中の翔鶴の見舞いに行ったり、議会に報告したり、色々していた。ゆっくりする時間が惜しくて部屋には帰らなかった。そして今、久々に部屋のドアの前に立っている。重そうな南京錠が侵入者を拒んでいた。私は首からペンダントを取ると南京錠のロックを外した。 カチリ。 ドアの鍵も外す。 カチリ。 私はドアノブを掴み、押した。ドアは簡単に開いた。一週間も空けていなかったはずだが、何処か懐かしさと物悲しさを感じた。私は靴を脱いで畳の上に足を乗せて踏み込んだ。閉めた襖の取っ手に手をかけて、サッと開く。 「おかえり」 窓の傍でスケッチブックを持ちながら椅子に腰掛けた秋雲が、いつも通りの笑顔で言った。 「……ただいま」 私は秋雲に近づいた。椅子のすぐ傍に立つ。 「描いていたのか?」 秋雲は首を横に振った。 「ううん、まだ」 「そうか」 秋雲は窓の外を見ていた。視線を辿ると演習場を見ているようだ。今、演習場では赤城と加賀が翔鶴と…瑞鶴を指導していた。 「……明日、瑞鶴を出撃させる」 茶色の髪が揺れ、エメラルド色の瞳が私を見上げ、そっか、と呟いてまた視線を外に戻した。 「良い天気だといいな~」 その声は嬉しそうでもあったし、物足りなさそうでもあったし、待ち遠しそうでもあったし、望んでいなさそうでもあった。 「……瑞鶴を描いたら、いなくなるのか」 私の問いかけに、秋雲はすぐに答えなかった。数秒、数十秒後にあのね、と声がした。 「……私自身、なんでここにいるのか分かんないんだー カスガダマ沖で確かに沈んだのに、気付いたら提督のこの部屋にいて帰投していた翔鶴を描いていた。ここには一度も来たこともなかったし、興味があった訳でもないのに」 何でだろうね? そう言って秋雲は私に笑いかけた。見慣れたしたり顔ではなく、何処か寂しそうであった。 「ま、でも翔鶴と瑞鶴はずっと描き残したかったし、会えるのを楽しみにしていたからね~カスガダマ沖で翔鶴に会った時は本当に嬉しかったよ」 秋雲がカスガダマ沖と言葉を発する度に私の心は暗く沈んでいった。それを察したのだろう、秋雲は静かに首を振った。 「提督のせいじゃないよ、あの時はみんな終わったんだ、って思ったもん。翔鶴だっていたし、…帰る時に攻撃を喰らうなんてこと今までなかったじゃん。油断していたのは提督だけじゃないよ。秋雲たちもそう。それに、あんなに大破してなかったら沈まなかったし、どっちかっつーと秋雲さんのせいだから、さ!」 秋雲がニカーっと笑った。沈んでいた気持ちがその笑顔で少し和らいだ。私は、秋雲の笑った顔が好きだった。そう思うようになったのはこの部屋で初めて秋雲に会った時だ。そして私は描き終わった翔鶴の絵を見て同時に恐れを感じたのだ。瑞鶴を描き終わったら秋雲はいなくなってしまうのではないか、と。 「………私はお前にずっとここにいて欲しかった。だから瑞鶴をずっと隠していた。…本当は、秋雲とこの部屋で会う前からいたんだ」 秋雲と再会する数日前、私は瑞鶴の建造に成功した。その時は瑞鶴に演習への参加をさせていたし、出撃も何度かさせていた。二度目の出撃で瑞鶴は怪我を負ったので入渠させ、翔鶴を出撃させていた。秋雲が瑞鶴の入渠中にここに来たことが、私を愚行に走らせた。私は瑞鶴を隠すことで秋雲をここに残らせようと思ったのだ。瑞鶴の所在を知らなければ、秋雲はきっと――――――そんな愚かな希望を抱いていた。 「うん。瑞鶴が基地にいるんじゃないか、って、何となく気付いてた」 私は目を見開いた。私はてっきり秋雲にはバレていないと思っていたからだ。秋雲は私の部屋にずっといて、部屋を出ようともしなかった。出たい、と言ったこともなかった。死んだ艦娘が戻って来たら周りは騒ぎになる。それを気遣っていたのか秋雲は外出する気配を見せなかったし、私も徐々に秋雲を外へと出したくなくなっていた。誰にも秋雲を見られたくなかった。むしろ、私以外に秋雲が見えるかどうかも定かではなかった。秋雲が私以外に見えない存在であるならば、「生きていない」と他人に証明されてしまうのなら、隠していたかったのだ。だから私は部屋に南京錠をつけたのだ。誰にも邪魔されないように、暴かれないように。 「だけどそうやって提督が瑞鶴を隠していても、こんな生活は長くは続かなかったんじゃないかなー」 「何故」 「秋雲が死んでから、もうすぐで四十九日だから」 「……もう、そんなに経ったのか…」 遠くでブーンと音がした。艦載機が不安定にゆらゆらとしながら空を飛んでいる。その横を無駄のない動きで真っ直ぐ飛んでいた艦載機があった。なんとなく、瑞鶴と加賀の烈風だろう、と思った。 「提督はなんで瑞鶴を隠さなくなったの?」 スー、ハー。私は深呼吸をした。 「………愛宕が言ったんだ、私は優秀な指揮官だと……だから落ち着いて冷静になって、って。その言葉を聞いた時、このままではいけないと思った。艦娘たちは私を信頼しているのに、…私は…上に立つ者としてその信頼を蔑ろにしすぎている、と気付いたんだ」 「そっかぁ」 秋雲は窓の縁にスケッチブックを置くと椅子から立ち上がった。私の前に歩み寄る。瑞鶴よりもさらに小さな体。小さくて、すぐに壊れてしまいそうだ。 「秋雲が現れなければきっともっと上手く瑞鶴や翔鶴たちと付き合っていられたかもしれないのに。秋雲がここにいたから、前に進むことができなくなったよね」 秋雲は私の腕を弱弱しく掴んだ。 「ごめんなさい」 エメラルドの瞳から私は目が離せなかった。そのまま私もその瞳の中に閉じ込められればいいのに、と妄想した。 「…謝るのは私の方だ。私のワガママでお前をここにずっと閉じ込めて悪かった」 秋雲は私を見ながら首を横に振った。 「…秋雲もここにいたかったから…提督と一緒にご飯を食べたり話したりして……楽しかったし面白かった。嘘じゃないよー?」 「そう言われると益々嘘のように感じてしまうな」 「なーにそれ!本当だってー」 ぷーと秋雲は頬を膨らませた。それが可笑しくて、私は笑った。すると秋雲は顔を歪に歪めたり、自身の頬を引っ張った。まるで赤ん坊をあやす行為だ。それが妙に笑いのツボに入ってしまって、思わず私は噴出した。秋雲も一緒に笑った。 ひとしきり笑い終わった後にねぇ提督、と私を呼んだ。 「私、お願いがあるんだけどさぁー聞いてくれる?」 「何だ?言ってみろ。無茶なこと以外は聞いてやろう」 秋雲は私から離れると本棚へ向かった。そこから一冊のスケッチブックを取り出した。表紙が黒色のスケッチブックだ。そのスケッチブックを私に差し出しながら、 「秋雲さんを描いてよ、提督」 願いが告げられた。 →続き
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「うむ、よくやった」 「でしょー?」 本日の成果は九九艦爆、瑞雲、烈風、謎ペンギン。言うまでもなく装備の開発である。 我が鎮守府の台所事情はこういった組織の例に漏れず厳しく、決戦時はともかく日々の鍛錬に戦艦娘たちを存分に活躍させる余裕は残念ながら無い。 必定、主なダメージソースは空母や軽空母たちに頼らざるをえず、性能の良い艦載機の開発は急務だった。 前任の艦載機開発担当であった赤城さんは、戦力面では申し分なかったものの装備の開発は苦手だったようで、現在は赤城さんを引き継いだこの蒼龍が、秘書兼艦載機開発を担ってくれている。 「ちょうど空母が増えて艦戦が足りなくなっていたところだ。 そろそろ零式52型は引退だな。いつもながら助かるよ」 「へへ、もっと褒めてくれてもいいんですよー?」 彼女はたしかに戦力面で一航戦に劣るものの、装備の開発は比較的得意なようで、現在うちに配備されている強力な艦載機たちのほとんどが彼女の手によるものだ。 「千歳型、飛鷹型に鳳翔、祥鳳…うちの軽空母たちにも最新型がほぼ行き渡ったしな。 これで鍛錬や撃退任務が捗る。これからも頼むよ」 「うん、任されよう!」 加えて、彼女は装備開発を褒めるとたちまち上機嫌になるのだ。『以前』は褒められ慣れていなかったのだろうか。 何にせよ、どんな娘でも自分の言葉で喜んでもらえるなら嬉しいものだ。 「欲を言えばまだ少し足りないが、一段落したし…そうだな。蒼龍には褒美を与えよう」 「え…褒美…ですか?」 「そう、ご褒美だ。装備以外にも秘書として日ごろ世話になっているし、君の働きには報いてやらないとな。 何か欲しいものはないか? 貧乏なうちでもボーキサイトの1000や2000なら出してやれるぞ。 あるいは休暇とか、間宮さんアイス食べ放題とか…」 「それは…確かに魅力的だけど…」 ? 何やらちょっと様子が変だ。申し出が気に入らなかった…わけではないようだが。 まさか、もっと大それたものをご所望なのだろうか。先ほど言ったボーキ2000は結構奮発したつもりなのだが… 「…そうですね。提督、あれ何ですか?」 「ん?……っっ!」 蒼龍が指差した方向に気を取られた瞬間、俺の視界いっぱいに彼女の顔が映り、唇に何か柔らかい物が触れたのだ。 一瞬の出来事。 蒼龍はすぐに離れたが、俺は椅子に座ったまままるで石になったみたいに動けなかった。 次第に事態を飲み込み、理解し、今更ながらに頬が熱く、鼓動が早くなっていく俺をよそに、 「ひひっ、ご褒美。頂いちゃいました」 いたずらっぽく、しかし俺と同じくらいに頬を染めて笑う蒼龍の姿があった。[newpage] *** 元々俺は何か下心があって彼女を秘書に任命したわけではない。 当時、艦載機開発が期待できるのは、それが不得手な赤城さん以外に蒼龍しかいなかった、というだけである。 試しに彼女にやらせてみたら、しょっぱなから流星と彩雲を引き当て、めでたく開発要員と相成ったのである。 それからは彼女の相方である飛龍を始め正規空母も揃ってきたが、ゲン担ぎもあり艦載機の開発と、ついでに秘書も蒼龍に頼んできた。 そこに他意はなかったが、先日の一件以降、当然というか何というか。俺は蒼龍を意識せざるを得なくなった。 というのも… 「…21型零戦、零式水偵、謎ペンギン、流星改…か。流石だな」 「へへー。…提督、またご褒美…欲しいです」 「…っ」 俺の直ぐ側まで身体を寄せて囁く蒼龍。 そう、彼女は装備開発が成功するたびに、その、『ご褒美』をねだるようになったのである。 や、別に、決して嫌というわけではない。むしろ望外の慕情を向けられることには未だに現実感はないものの、間違いなく嬉しい気持ちの方が大きい。 しかし、俺はこの手のことに決定的に疎かった。慣れていなかったのだ。 ましてや俺は提督、艦娘たちの全てを背負う立場である。特定の艦娘に肩入れすることなど決してあってはならないのであり、 「…ちゅ、はむ、ぅぅん…ぷぁ」 俺が思考を空回りさせている間に、蒼龍は俺の肩を抱いて唇をついばみ、舐っている。 困ったことに『ご褒美』は回を重ねるごとにエスカレートしており、唇を触れさせるだけの行為から、次第に情熱的な、舌と唇を積極的に絡ませる、恋人同士のするそれと変わらないものになっていた。 どうすればいいかわからない俺は、ただぼんやりと彼女の蕩けた表情を眺めながら、柔らかい女性の唇と唾液の生々しい匂いを感じることしかできないでいる。 「ちゅ。ふふ、ごちそうさまでした…提督、また、期待しててくださいね。 …もちろん、装備の開発に…ですよ?」 あどけない顔つきとはチグハグな艶っぽい声で終わりを告げられ、俺も夢から覚めたように執務室を見渡す。 蒼龍は何事もなかったかのように自分の席に収まり、仕事を再開している。 おそらく俺が頼んだ、遠征結果と戦意高揚状態の相関を調べるデータの整理だろう。 しかしその頬は上気したままで、表情もどこか嬉しそうな―― 「!」 不意に目線を上げた蒼龍とまともに目が合ってしまった。 慌てて自分の仕事を再開するが、俺の心臓が平静を取り戻すにはもう少し時間がかかるようだ… *** 「…」 報告書をめくりながら、俺は内心驚いていた。 確かにレベリングはそれなりに熱心にやったが、難所であると思われていたカスガダマ沖海戦を、我が第一艦隊はわずか5回のトライでHPゲージを削りきり、あっさりと突破してしまったようだ。 「どーですか司令!私だってやれば出来るんですよ!金剛お姉さまと一緒なら誰にも負けません!」 「ワタシもexcite fightしたんですヨー?でも、敵に与えたdamageは榛名には敵いませんけどネー!」 「そ、そんな…榛名はただ、夢中で…」 「吾輩にかかれば、この程度当然だな!」 「潜水艦は徹底的に無視。潜水艦に攻撃できない艦を集めて夜戦で止め。 私の計算と司令官さんの戦術、ばっちりはまってましたね。さすがです」 「…ああ。お前たち、よくやってくれた」 いつになく執務室が賑やかなのも無理もない。ここ最近になかった大戦果だからだ。 特に、ボスにとどめを刺しMVPまでかっさらった利根は鼻高々である。 しかし、俺の目線が吸い寄せられるのは… 「いやあ、さすがですね皆さん。私が支援した甲斐がありました」 「oh!蒼龍が敵の艦載機をほとんどstrikeしてくれたから私達砲撃に専念できたネ!Nice assistだったヨ!」 「むう…確かに敵のヒコーキはほとんど飛んでこなかったな。吾輩も楽だったぞ」 「今回の蒼龍さんには防空を全てお任せしてましたからね」 そう。今回蒼龍はダメージ源となる艦攻隊・艦爆隊を一切積まず、艦戦と彩雲のみを載せた極端な構成だったのだ。 夜戦重視の戦術のため普段は2隻入れている空母を一隻に減らし、その分艦攻隊・艦爆隊を積むスペースが無くなってしまったのである。 結果、蒼龍は火力的には一切貢献できない構成となってしまった。もちろん、指示したのは俺である。 勝利するためとはいえ、昔からの付き合いである彼女を完全に裏方に回す形にしてしまうのは正直心苦しかったのだが、この戦果ならきっと彼女も納得してくれることだろう。 が… 「提督…私、今回すっごい地味でした」 第一艦隊の面々が意気揚々と自分たちの部屋へ引き上げたあと、取り残された形となった蒼龍がつぶやいた。 「…仕方ないじゃないか。彩雲と艦隊をカバーする分の烈風を積んだら艦攻艦爆積めないんだから」 「じゃあ、じゃあ、艦載機数の多い加賀さんを使えばよかったじゃないですか!」 「い、いや、確かにそうなんだが…」 何故か不機嫌である。いや、不機嫌とは少し違うような…? 「提督、加賀さんもちゃんとレベル上げしてたじゃないですか。私、知ってるんですよ!」 「そりゃお前はずっと秘書艦だったしな…」 「じゃあどうしてですか」 お前を外したくなかったからだ、などと恥ずかしくて言えない。 「…まあいいです。そりゃあ、私だって僚艦の防空は大切な仕事だってわかってますよ。 でも、私も攻撃に貢献して、MVPを取りたかったんです。…提督のために」 最後に付け足された語に激しく動揺しているのが自分でもわかる。 「い、いや、蒼龍はよくやったよ。蒼龍がいなかったら今回の勝利は覚束なかった」 「本当ですか?」 「ああ。真のMVPはお前だ」 「じゃあ…『ご褒美』、下さいよ。いつもより、豪華なの」 ようやくわかった。不機嫌ではない、これは… 「今夜…部屋で待ってます、からね…」 思わぬ追い打ちを食らい、固まった俺が気づいた時には、彼女は既に執務室からいなくなっていた。 *** 無論いくら疎い俺でも、蒼龍のセリフがどういう意味を持ってるのかぐらいはわかる。 残っていた仕事を終わらせ(まるで手に付かなかったのは言うまでもない)、身を清めた俺は、神妙な心持ちで空母寮を訪れ、蒼龍の部屋の前に立っていた。 意を決して、ノックする。 コンコン。 「はーい、どうぞ」 いつもと変わらぬ…ように聞こえる蒼龍の声に幾分平静を取り戻した俺は、ぎこちない動きでドアを開けた。 「ふふ、いらっしゃい」 「ああ…」 艦娘たちの部屋は簡素ながら、要望に応じて和室と洋室に振り分けている。蒼龍の部屋は和室である。 勧められるままに座布団に座った俺は、事前に何回もシミュレートした通り口を開いた。 「蒼龍、今回は本当によくやってくれた。感謝して――」 「もう提督、それはさっき聞きましたー。もちろん嬉しいですけど、私が欲しいのは『豪華なご褒美』ですよ」 「う…」 いきなり予定が狂ってしまった。仕方あるまい…いくらか段階をすっ飛ばすことにする。 「蒼龍…隣に座ってくれるか?」 「はい♪」 いかにも嬉しそうに、蒼龍が俺の隣に収まる。 それだけではなく、じいっとこちらを見続けている。正直気恥ずかしくてしょうがないのだが、目線を逸らすといろいろアウトな気がして外せない。 出所不明の義務感に突き動かされ、俺の腕は半ば無意識的に蒼龍の背中に回っていた。 「蒼龍」 「はい」 柔らかい。温かい。名を呼びながら抱きしめるだけで、こうも気持ちが昂るものなのか。 こいつが愛しくてしょうがない。 「よく…やってくれた。お前は最高の空母…いや、艦娘だよ」 「…はい」 「これからずっと、俺の秘書をやってくれるか」 「…! ず、ずっと、ですか?」 「そうだ。ずっとだ。…嫌か?」 「嫌じゃ、ない、です、けど…驚きました。提督はもっと奥手だと思っていたのですが」 しまった、すっ飛ばしすぎたか。 「でもそんな…土壇場で突っ走っちゃう提督も…好きです」 その言葉に心臓が跳ね上がりそうになる。ただでさえ人生最大速度で鼓動しているというのに。 改めて蒼龍を見つめる。 濡れた瞳。柔らかそうなほっぺ。龍の髭のような紐でしばった、幼い印象を際立たせる二つのお下げ。 今までさんざん見てきた顔のはずなのに、吸い込まれそうな錯覚に陥る。 いや、実際に吸い込まれていた。いつの間にか、俺は唇を重ねていた。 「あ…ん…んふ…ちゅ、ん…ああ…」 今までとは違う自分からするキスの、なんと甘美なことか。俺はひたすらに蒼龍の唇を、舌を、貪った。 ひとしきり堪能した後、ようやく口を離した。銀色の橋がぷちりと千切れる。 「…嬉しいです。キス、提督からしてくれたことなかったから」 「すまん」 「最初の時だって、私、ものすごく勇気を出してやったんですよ?」 「…すまん」 「でもやって良かったです。私がああでもしなきゃ、提督は私のこと、意識してくれませんでしたものね」 「…ああ。感謝してる」 「何言ってんですか。感謝してるのはこっちの方ですよ」 「え?」 「私…ずっと怖かったんです。正規空母の中じゃ弱いし、そのくせ燃費は正規空母並だし。 隼鷹や飛鷹なんか、私とほとんど艦載機数が変わらないのに、燃費はずっといいし。 飛龍は私よりずっと運がいいし…正直、客観的に見たら、あえて私を使う理由なんて殆ど無いんです… 提督の気まぐれで第一艦隊に、秘書にされたんだろうと。 どうせ私なんてすぐ外されてしまうだろうと。そう思ってました。 …なのに提督は、私を重用して下さいました。そればかりか、秘書に据えて、艦載機開発まで任せていただいて。 私はたまたま最初にホロ装備を出したってだけなのに。 いい装備が出るたびにびっくりするぐらい褒めてくださって… 嬉しかった…」 …そうか。あの喜びようにはそういう事情があったのか。 偶然だが、俺が艦載機担当に据えたことが他の空母たちに感じていた劣等感を和らげていたのか。 しかし…と、よせばいいのに思わずネタばらしをしてしまう。 「…それは、赤城さん以外に艦載機開発できるのがお前しかいなかったというだけで」 「でも、飛龍や瑞鶴たちがうちに来ても、提督は私を外しませんでしたよね?」 「そりゃまあ、そうだが…」 「どうしてですか?」 「…考えたこともなかった。お前を外すなんて選択肢、端から無かった…だけ…」 …うん?ということは、つまり、…そういうことなのだろうか? 「提督ったら、やっぱり自覚なかったんですね。ほんとうに可愛い人です。 とにかく、私だって提督に、とっても救われてたんですよ。そこが重要なんです。 おかげで、私は二航戦の誇りを保つことが出来ました。だから…大好きです」 再び心臓がドクンと跳ね、思わず蒼龍を抱きしめる腕に力が入る。 触れ合ってる場所が馬鹿みたいに熱く、頭の中も茹だっているのがわかる。 乱暴にはすまい、という理性の欠片を必死に保ち、彼女を抱きしめたまま囁く。 「…いいか?」 「私が誘ったんです。してくれなきゃ怒りますよ。あ…でも…明かりは消して欲しいです…」 立ち上がるのももどかしく、片腕で蒼龍を抱いたまま膝立ちで電灯の紐を引く。 部屋がふっと暗くなり、窓から差す埠頭の街灯だけが、お互いの輪郭を浮かび上がらせる。 「ん…他には…?」 「…なるべく、優しく…でも激しく…してください…」 目を伏せて、ぎりぎり聞き取れる声でおねだりする彼女は、たまらなく淫靡だった。 *** 「…触るよ」 「ん…」 布団に横たえた蒼龍に寄り添って、柔らかそうな胸に手を伸ばす。 名前通りの蒼い着物はしっかりとした布地だが、そこから伝わる感触は女性特有の柔らかさ。 今までは気にはなってもあえて目を向けまいとしていた、その中でも一番柔らかい場所に、俺は今触れている… そのことに得体の知れない充足感を覚えながら、俺は愛撫を始める。 「んっ …ふ…んんぅ…」 「蒼龍の胸、見せて」 「…あ…っ」 紐をゆるめ、着物を開き肌を露出させると双丘がこぼれ出る。 蒼龍の胸は大きめだが、戦艦娘たちのように形がしっかりしているわけではない。 おそらく服が比較的ゆったりしているのもあるだろうが、仰向けになった蒼龍の胸はやや潰れ、 いつも見るよりは小さい印象を受ける。 「…あ、あんまり見ないで、ひゃんっ…! あ…んん、ん…」 しかしその分、柔らかさは尋常ではない。 しっとりと汗を帯びた、まるで搗きたての餅のような乳肉を撫でるたび、蒼龍の口からは悩ましげな吐息が漏れる。 闇の中でふるふると震える乳首にむしゃぶりつきたい衝動をこらえつつ、 あえてそこを避けて優しくキスをし、舌を這わせて愛撫していく。 同時に袴の中に手を差し入れて、熱を帯びた大腿を撫でる。 「は…ぁ…! ん…」 触れる度に蒼龍の体はぴくりと反応するが、拒絶されているわけではなさそうだ。そのまま鼠径部や恥丘を下着の上から指を這わせ、蒼龍の劣情を煽っていく。 「うう…提督…っ」 「何だ…?」 「…っ 提督って…意外に意地悪なんですね…」 「そうか?」 「そうですよぉ…」 そろそろだろう。自分の指を舐めて濡らし、コリコリと尖った乳首に自分の唾液を塗りつける。 「ひぃんっ! は、て、いとくぅ、それビリって、んん、ん…っ!」 ヌルヌルになった乳首をそのまま指で転がし、軽く摘み上げる。 反対側の乳首は直接口付けし、舌で転がす。汗の塩気と、かすかに甘みを感じる… 「ん、んんっ…!は、ひゃんっ…はぁ、はぁ、あ、くぅん…」 「甘い…」 「な、何言って、! あ、そこ、は、ああっ…!」 ぐしょぐしょに濡れそぼった下着の上から、今度は肉豆と割れ目を強く指でなぞると 蒼龍は鋭い嬌声を漏らした。 「やあっ…提督、直、にぃっ…!」 精一杯のおねだりにこちらが我慢できなくなり、下着に手を突っ込み蒼龍の恥丘と性器全体を直接手のひらで覆う。 秘裂がちょうど中指にぴったりと当たり、ぬちゅりとした温かい感触を指の腹で撫でると、蒼龍の喘ぎ声がひときわ高くなる。 そのまま、しとど濡れた肉のスリットに指を潜り込ませて、膣内の浅い場所をクチュクチュと弄る。 「ひぃんっ…はぁっ、はあ、あっ、あ、あぁ、指、ぃぃ…っ、! そこ、ぞくってぇ…」 中指の根本がクリトリスを押しつぶすたびに蒼龍はビクビクと痙攣し、膣内の指を締め付ける。 いつの間にか蒼龍の腰は俺の指を誘い込むように艶かしく動き、手のひらと下着はべっとりと愛液で汚れている。 「…下、脱がすよ」 「やぁっ…」 「嫌?」 おそらく反射的に答えただけだろう。俺の問に目をぎゅっと瞑ったままふるふると首を振って応える蒼龍。可愛い。 完全に用を為さなくなった下着を丁寧に脱がすと、ついに蒼龍は一糸まとわぬ姿となった。 蒼龍の秘所を暴こうと、俺の腕が勝手に動き蒼龍の足を広げ、ソコを完全に曝け出す。 「や…やだぁ…そんな、見ないで…」 見るなと言われても目が離せない。暗さに慣れてきた目には、性器の周りにぽやぽやと生えた陰毛や、勃起しピンク色に光るクリトリス、ぷっくりと充血し開いた陰唇、その奥でヒクヒクと蠢く濡れた肉穴まではっきりと見て取れた。 発情し開花したソコは今まで見たどんなものよりも卑猥で、俺は思わず彼女の股間に顔を埋める。 「ひあっ…!?舐め…っ うぁっ…ふ、ふぅっ!ん、んぁっ、は、はぁんっ!」 汗と女の生々しい匂いがむわりと顔を包む。 そのまま舌を秘裂に沿ってなぞり、小陰唇の奥に隠された尿道口と膣口を丁寧に舐め上げる。 膣口に差し入れると愛液がじわりと滲み出て、膣腔内を吸い上げる度にずじゅじゅう、ぶぢゅるるうという下品な音が部屋に響く。淫らに発情した蒼龍の味と匂いを、俺は夢中で味わった。 「あ、いいんっ、音立てないでぇっ…! 舌、あ、たま、ふわふわって、私ぃ、はぁんっ…」 もちろん音はわざとである。 蒼龍の愛液を存分に堪能し、目の前で存在を主張している陰核に舌を這わせながら、膣内に指を差し込みかき混ぜた。 「蒼龍のここ、すごい大きくなってるぞ…」 「やあ…っ そん、な、こと… !!そ、れ、舐めちゃ、ひ、ひゃんっ… …はぁっ、はあ、あっ、あ、あぁ、指、ぃぃ…っ、! な、か、そこ、ぞくってぇ…」 どうやら膣内の性感帯を探り当てたようだ。ソコを指の腹でトントンと叩きながら、クリトリスを包皮ごと口に含み、思い切り吸い上げた。 「やぁ、はぁんっ、いっ…!? そ、こ…ああああぁぁっ…」 蒼龍は腰を浮かせながらブルブルと震わせ、数瞬後ドサリと布団に落下する。 指を引き抜くと、大量の愛液がゴポリと溢れでた。 「はぁ…はぁ…提督…すごいですよぉ…あっ、あむ…」 くたりと身体を弛緩させた蒼龍はたまらなく扇情的で、俺は思わず彼女の口にむしゃぶりついていた。 「むっ…んん…っ…ん、あ、ていと、んむぅっ…ちゅっ、ちゅうっ…」 舌を絡め合い、唾液を舐め取り、自らの唾液を蒼龍の口内に送り込む。 先ほどとは違う、犯すような、搾取するような激しいキス。 蒼龍の体液を摂取しているという事実にどうしようもなく興奮し、脳が熱暴走を起こしている。 「…ぷはっ! はぁっ、はぁっ、て、ていとくぅ、息できませんよぉ…」 「すまん…蒼龍があんまりにもエロ可愛くて」 「っ そ、そういうこと言うのやめてください…」 「蒼龍の口もアソコも美味しかった」 「ちょっ!だ、だからぁ…」 「次は、蒼龍がしてくれると嬉しいな」 「……!!」 調子に乗って言葉責めを重ねると、蒼龍は完全に固まってしまった。 …少し調子に乗り過ぎたかもしれない。引かれてしまったか…? だんだん不安と後悔が大きくなっていく俺の視界が突然回転し、蒼龍の顔がすぐ前に…否、上に位置する。 ちょうど俺が蒼龍に押し倒された格好で、どうやら体勢が逆転してしまったようだ。 「提督のご希望、よぉっくわかりました。そこまで仰るなら私も遠慮はしません。 今まで私が提督にしてあげたかったこと、存ッ分にやらせていただきますね…!」 鼻息荒く迫る蒼龍。あれ…?なんか俺、変なスイッチ入れちゃった…? 「はむぅっ!?…ん、んぅ…あ、あう、そう…むふぅ…!」 誠に残念ながら、これは俺の声。 そう、つい先程とは逆の構図。蒼龍が俺に覆いかぶさり口内を舌で蹂躙しているのである。 次々と蒼龍の唾液が送り込まれ、溺れそうになる俺。逃げようにも頭をがっちりホールドされてるので逃げられない。 限界に近いところでようやく口が解放された。 「ぷはっ、はっ、はっ、そ、蒼龍、お前…」 「やっぱり私の提督はとっても可愛いです ささ、楽にしてくださいね…♪」 丁寧にシャツを剥がされ、夜気に曝される俺の肌に蒼龍の熱い柔肌が直接重ねられる。 「ちゅ…れろ、ちゅ、ちゅぷ…ふふ…んちゅ、ぺろ…」 耳、頬、首筋。蒼龍がキスするたびにくすぐったいぞわりとした快感と、蒼龍の髪の匂いが鼻を撫でる。 次いで肩甲骨、喉、胸元にキスの雨と舌が這いまわり、乳首が弄ばれる。 「そ、蒼龍…」 「だぁめですよ、今は私がしてるんですから」 胸、鳩尾、臍、下腹部… 俺の肌の上をぬらぬらと這いまわる舌はだんだん下の方にずれていき、ズボンを脱がされ、屹立した下着のテントに到達する。 「はぁ…提督の、こんなに…んっ…ちゅ…ちゅ… 興奮してくれてるんですね…嬉しいです…ちゅ…はぁ…」 下着の上から先端にキスされるたび、布越しに唇の柔らかい感触が伝わる。 「んぅ…んふぅー…んっ、ん、ん…」 更に口に含まれ、舌で弄られている…らしい。下着越しにされているため確証が持てない。 何より、もどかしい。 「ふーっ…すぅー…はぁ…これが…提督の…」 おまけに匂いまで嗅がれているようだ。やばい。風呂に入ってきたとはいえ、こいつヤバイ。エロい。 そうこうするうちに下着まで脱がされ、限界まで勃起した肉槍が蒼龍の目前に曝される。 「…すごい…」 トロンとした目で俺のモノを見つめる蒼龍。恐る恐るといった動作でそれを手に取り、顔を近づけていく。 「んっ…すーっ、ちゅ…すごい、エッチな匂いと味…あっつい… ちゅ、れろぉーっ、にちゅ、はーっ、れりゅ、ちゅ、ちゅっ、はーっ、はーっ、んちゅううう…」 竿に舌を這わせ、根本から舐め上げ、先端や裏筋にキスの雨を降らせる蒼龍。トロンとした目で時折こちらを見遣るのが堪らない。 「ふふ…提督の、しょっぱくて先っぽからヌルヌルが出てますね…もっとしてあげますから、気持ち良くなってください…」 いかん。なぜ俺が恥ずかしいのだ。普通逆ではないのか。 いや…しかし俺もついさっき蒼龍に同じことを…蒼龍は同じことをしてくれているだけ… 「うわっ!?そ、蒼龍、そこは…」 「男の方も、ここは気持ちよくなれるって聞きましたよ?」 つ、つっと指先で撫でられる俺の菊門。やばい、こいつヤバイ。 それにこいつ今、「も」って言わなかったか!? 「でも初めてなのにちょっとやりすぎですよね…今回は撫でるだけにしておきますね♪ …ぁむうぅ」 「うぁあっ!?」 大混乱から立ち直る間もなく突然俺の陰茎が生暖かいものに包まれた。 先端を咥えられたままカリ首に舌が這いまわり、鈴口が刺激される。 「んっ、んぷ、んっ、んんん…ぷぁっ、はっ、んんっ、じゅじゅちゅうっ、はぁ… あむ、ぐぷっ、じゅぷあっ、はあっ、あむっ、んっ、んん、ううんっ♪」 くぐもった吐息と淫らな水音、陰茎への刺激、何より蕩けた顔で俺のモノを一心不乱に舐めしゃぶる蒼龍の表情が 劣情と射精欲を煽り立てる。 「ぷちゅぅ、ぐちゅ、くちゅっ、ちゅぷっ、あはぁ…はむぅ、ちゅろっ、ぢゅろっ、くちゅる、ぢゅうううっ…」 「お…いっ、そう、りゅう、ダメ…だっ…!」 「んー…?ひもひよふにゃいれふか?」 馬鹿、シながら喋るな変な刺激がっ…! 「ちがっ…よすぎて、出ちまう…っ」 「んふー♪ …ちゅる、じゅ、ふぁ、ん、んぶぅ、ちゅぷ、ちゅっ……ぢゅるるるるっ!」 むしろ一層情熱的にフェラチオを再開する蒼龍。その嬉しそうな顔を見た瞬間、ついに我慢が決壊する。 びゅ、びゅぶぅっ!どぐっ、どぐっ…どぷっ… 「んぷっ!?ん、ん~っ ぷはっ、こほっ、うわ、わっ…」 たまらず蒼龍が吐き出した精液が俺の下腹部にぼたぼたと垂れ、 それでも収まらない射精が蒼龍の顔を白濁液で汚していく。 「これが…提督の精子…なんですね… …ふふ、エッチな味と匂い」 「す、すまん、口の中で…うわっ!?」 じゅずずぅ、ぴちゃ、ちゅぱっ… なんと蒼龍は俺の腹に落ちた精液を舐め取り始めたのだ。 馬鹿、やめとけという言葉も聞かず夢中で俺の子種を啜るその姿はどうしようもなくエロくて、 俺の制止の声はだんだんと掠れて消えてしまっていた。 ちゅぷん、と萎えてしまった俺の陰茎に残った精液まで吸い出して、蒼龍はニカッと笑う。 「ごちそうさまっ♪」 「お、お前…お前…」 得意げな顔で俺の胸に抱きつく蒼龍。 「馬鹿だな、飲まなくていいのに」 「違いますよ、私が飲みたかったんです。…そりゃ、味はあんまり良くなかったですけど。 私で気持ちよくなってくれた、好きな人の精子なんですから。飲んであげたいに決まってます。 それに、提督の精子ですよ?…興奮するじゃないですか」 「…お前がそんなにエロいとは知らなかったよ」 「なーに言ってんですか提督。提督だって私のを飲んだじゃないですか。エロいのはお互い様です。 お、おまけに…美味しかった、だなんて…」 「う…あ、あれは…」 思い出させるな顔から火が出る。 しかし言われてみればその通りである。その通りであるが、ちょっと想像と違ったというか、 艦娘はもう少しお淑やかであって欲しかったというか… 「というか、いやに手慣れてないか?本当に初めてなのか?」 「あのですね提督…私達の生活、ご存知ですよね? 今までそんなコトする暇なんてありませんでしたし、第一相手がいませんよ」 「いやまあ、確かにそうなんだが…あんなことの知識はどこから…」 「秘密です。でも、私がやったことぐらいの知識はだいたいみんな知ってますよ? 駆逐艦の子たちでも知ってる娘がいるくらいですから」 「…オゥ…」 なんということだ。我が鎮守府がそんな事態になっていたとは…恐ろしい。 「そういう提督こそ、なんか手際良かったですよね… 女っ気の全くない生活をしてらっしゃいますが…実は女性経験が結構お有りで?」 「き、企業秘密だ」 「ほらぁー」 ご想像にお任せします。 「…私達だって、女の子ですから。そういうことに興味はあります。 私も提督にアプローチした時から、いつかこんな時が来るかなって…考えたり、れ、練習したり…」 バカヤロウ、何突然エロ可愛らしいこと言ってんだ。おかげで元気になっちまったじゃねえか。 「あ…提督の…」 蒼龍も気づいたらしい。改めて蒼龍を組み敷いて抱きしめながら、耳元で囁く。 「…挿れるぞ」 「はい…私でいっぱい、気持ちよくなってくださいね…」 そそり立つ怒張をあてがい、ゆっくり、ゆっくりと腰を進める。 「っ」 ペニスが、蒼龍の充血した小陰唇を掻き分け― 「っう、ううっ…」 膣口をこじ開け― 「くうっ…あ、ああっ…」 処女膜を引き裂き― 「あ…あ…っは、はうっ!はっ、はっ、あ…」 遂に最奥に到達した… 「ぜん、ぶ、入りましたか…?」 「ああ…大丈夫か…?」 「は、はい…痛いけど…痛いのも…嬉しいです…」 クソッ、どんだけ可愛いんだこいつは。 「提督…このまま、ぎゅっとしてください… …あと、キスもしてください…」 言われなくても。 存分にお互いの唾液を交換し合ったあと、頃合いを見計らいゆっくりと腰を動かし始める。 「っ!」 「だ、大丈夫か?」 「はい…ちょっと痛いけど…平気…動いてください… 私、は、提督と繋がってるだけで…っ、あっあ、んんっ…」 いちいち興奮させるようなことを言うな。加減できなくなる。 ピストン運動は控え、ゆっくりと円を描くように腰を動かす。 それだけで蒼龍の膣内はきゅうきゅうと締め付け、信じられないほどの快感をもたらす。 「はぁ、はぁっ、提督、提督ぅ…」 「蒼龍、好きだっ、蒼龍っ…」 互いの名を呼ぶたびに嬉しさと快感がこみ上げてくる。 それは蒼龍も同じなようで、彼女の腰の動きもだんだんと大胆になっていく。 結合部から出るずちゅ、ぶちゅという卑猥な水音が脳髄を刺激し、蒼龍の息遣いと熱気が頭を熱く甘く蕩かしていく。 「はぁっ、あ、! あっ、てい、とく、ああっ、やだやだ…っ、そ、こぉ、だぁめっ…!」 たゆんたゆんと揺れている柔らかい乳肉を掴むと、蒼龍の嬌声が一段と激しくなる。 そんな蒼龍がたまらなく愛しくて、腰を動かしたまま覆いかぶさって唇を貪った。 「ちゅむぅ、ちゅぶっ、ちゅる、んっ、ぷぁっ、んんっ、あはぁっ きも、ちいい、ですかっ…?て、とくっ、あ、わ、わたしできもち、よく、なれてるっ…?」 「ああっ、最高だっ…蒼龍のナカ、熱くて、ぬるぬるでっ…搾り取られそうだっ…!」 「よかっ…た、わた、しも、はぁっ、ていとくのぉ、いいっ…きもち、いいですっ…」 前戯でさんざん濡らしたのが良かったのか、蒼龍はほとんどもう痛がる素振りを見せない。 それとも蒼龍のしていた『練習』の成果だろうか? 「ちゅ、ぺろ、はぁ、すっ…き、な、人の、だからぁっ …きもちいい、の、かなっ…」 そんな詮無い思考も蒼龍の台詞で塗りつぶされ、彼女の胎内にすべてを注ぎ込むことしか考えられなくなってゆく。 「う、うあっ…も、だめだっ…蒼龍…っ」 「はいっ、はいっ、わたしの、なかでぇっ…ぜんっ、ぶっ…わたしもっ…!」 どくんっ、どびゅうっ、びゅるる、びくっ、びくっ… 限界まで抑えていた欲望が爆発し、蒼龍の最奥に流れこむ。 同時に蒼龍の膣肉もまるで絞りだすようにうねり、痙攣し、貪欲に子種を飲み込んでいく。 「っあ…あ…あつい、の、どくどく、って、出てます…」 人生最高の充足感を味わいながら、蒼龍の肚に一滴残らず注ぎ込んだ。 そのまま倒れるように蒼龍に覆いかぶさり、心地良い倦怠感を共有する… 「はぁっ、はぁっ、気持よかったよ、蒼龍…」 「私も、です…私…幸せです…」 この期に及んでまだそんな可愛いことを言うか。俺を殺す気か。 互いの体温をひとしきり楽しんで、ようやく蒼龍から離れる。 萎えた陰茎を蒼龍の膣穴から引き抜くと、愛液と精液の混ざったものがゴポリと溢れ出る。 「いっぱい出ましたね…」 二回目だというのに、我ながらよくこんなに出したものだ。 「…っとと、ティッシュティッシュ」 「ああいいんです、後で私が片付けますから。それに―」 「え?」 「いえ…何でもないです…あの…ちょっと勿体無いなって思っただけです…思っただけですよ?」 この子は… 「…で、大丈夫だったか?最後の方は俺も気遣いとかできなかった、すまん」 「いえ…最初は痛かったですけど…途中からわけわかんなくなってましたし… 多分、気持よかった…ですし…夢中になってくれたのなら、嬉しい…です」 そう言葉を紡ぐ蒼龍がまた可愛くて、たまらず俺は彼女を抱きしめる。 「…これからも、よろしくな」 「はい…こちらこそ♪」 蒼龍が眠りについたあと、このまま蒼龍を抱いて眠りたい衝動をこらえ、俺は空母寮を後にしたのだった。 *** 「エエー!まだ付き合ってなかったんですカー!?」 「…え?」 翌日、朝食の席で蒼龍を改めて秘書に据えることを皆に伝えた。 最初は「提督は何当然のことを言っているのだろう」という雰囲気だったので、もうちょっとその…詳しく説明したらこの反応である。 「…え、どういうこと?」 「だってテイトク、蒼龍と一緒にいるトキはいつもso sweetなatmosphereじゃないですカ!」 「…マジで?」 ちなみに金剛は砲・電探の開発を担当しているため、何回か臨時に秘書艦を務めている。 自分としては蒼龍と変わらぬ態度で接していたつもりだったのだが… 「ワタシもテイトクのことダイスキですケド、さすがに蒼龍には敵わないネー」 「蒼龍さんもラブラブでしたし、どう見ても余人の入る隙はありませんでしたからね…」 「アレで隠していたつもりだったとは…提督は余程隠し事をするのが下手と見えるの」 鳥海と利根に追撃を食らい、茫然とする俺。ということは… 「な?昨日は早々に引き上げて正解だったじゃろ?」 「ですね」 「Nice ideaだったネ」 「え!?お姉さま、あれってそういうことだったんですか!?」 やはり、昨日は気を利かせてくれていたのか。若干一名気づいていなかったようだが… 「提督と蒼龍さんが、そ、そんな関係だったなんて…」 「あー…やっぱりそうだったんだね」 「お、朧は知ってたの!?」 「まあ…ちょっと怪しいかなぁって」 「うーん、ご主人様呼びも考えないといけないかなぁ?」 「フン、クソ提督にはもったいないわね」 第七駆逐隊の面々ですらこの反応…そんなに態度に出ていたのか… 今度からはもう少し気をつけよう、あれ?でももうその必要もないのか? そんなことを考えていると、 「ああ…それで昨日は特に声が大きかったのね」 「!?」 別な方向からの衝撃発言。今度は蒼龍が動揺する番である。 「ちょっと飛龍…はしたないですよ」 「ご、ごめんなさい、赤城さん」 飛龍は蒼龍の隣の部屋だ。もちろん昨日が初めてで、つまり… 当然ながらそんなことは口にしないが、顔を真赤にして俯く蒼龍はすこぶる可愛かった。次回の責めネタは決まりだな。 そんなことを考えながら、俺は朝食と幸せを噛みしめているのだった。 おしまい